プライベートクラウド環境で、標準の長期サポートは大きな安心材料
クラウド/IoT時代になり、パブリッククラウドで動かすシステムは、すぐ利用を止めることが可能になった。一方で、プライベートクラウドやIoTで動かすシステムは長期間じっくり使うようになってきている。
多くのハードウェアベンダーのサポート期間は5年間が標準。それよりも長く利用する場合は、特別対応でサポート期間を延長することになる。これには高額な費用がかかることがほとんどだ。
「デルの場合は7年というサポート期間を、購入時に標準メニューから選択できる」とデルでプロダクトコンサルタントを務める澤井修二氏は述べる。
今や企業においてもクラウド利用が拡大し、多少の制限があってもクラウド環境でカジュアルにシステムを使うニーズが増えている。一方で、セキュアで運用ルールをより厳密に適用したいシステムにおいては、プライベートクラウドなどでしっかり運用したいというニーズも多く存在する。後者のシステムは次々に入れ替えるのではなく、より堅牢で安定したものを長期間利用することになる。この場合に、標準で長期サポートが用意されていることは大きな安心材料となる。
ITベンダーのサポートサービスに良い印象を持っている人は少ない。もちろん、サポートサービスの利用が、障害や故障といった「ネガティブな事象」をきっかけにしているからという理由もあるだろう。
そもそもITベンダーにとって、サポートサービスは手間やコストがかかる“割に合わない”ビジネスという印象もあった。手厚いサポートで製品を長く使い続けてもらうよりも、早いペースで買い換えを促したほうが大きな売り上げにつながった。かつては、1年間の無償サポートの期間をあえて2年、3年と伸ばし、サポート期間終了とともに買い換えを促す営業アプローチもあったようだ。
しかし、今はそんな時代ではない。顧客とのエンゲージメントに注目が集まり、顧客とのより良い関係性が重視される。また、クラウド/IoTの時代になり、自社資産のシステムはじっくり長い間使うことが求められつつある。
デルのサービスは保守サポートのみではない。製品導入前のコンサルタントから始まり、販売し導入する際の技術支援、さらにはリサイクルのサポートまでをエンド・ツー・エンドで提供している。製品ライフサイクル管理サービスの対象となるのは、サーバー製品はもちろん、ストレージやネットワーク機器、クライアントPCまでが含まれ、これらを一貫したサービスとして提供できるのも強みだと澤井氏は強調する。
デルでは国をまたいでも、サービスが継続されるのが当たり前
さらに日本企業がグローバルにビジネスを展開するのが当たり前になった今、保守のグローバル対応もITインフラに求められる大事な要件になってきている。
「グローバルにビジネスを行っているお客様企業から、国をまたいでサーバーを移動させた際にサポートサービスを購入し直さなければならずに困っていたとの話を耳にしました。デルでは国をまたいでもサービスが継続されるのが当たり前で、この話を聞くまでこれがサービスの価値になっているとは感じていませんでした」(澤井氏)
デルはグローバルでサービスを提供している。デルのグローバルネットワークを活かし、24時間365日の監視、電話サポート、保守パーツの提供やオンサイト保守を実施。ここでグローバルというのは、サービス拠点が各国にありそれぞれの国で対応できるだけではない。
「デル製品にはサービスタグが付いていてその情報を使いサービスを提供します。たとえば日本で購入し利用していたものをドイツに移動する場合も、タグ情報の移管手続きを行いドイツでもすぐに日本と同様なサービスが受けられます。他社では、この国をまたがったサービスが簡単には受けられないこともあると聞いています」(澤井氏)
日本で4時間以内のオンサイト保守という条件で契約していても、国土が広くそれが実現できない国では条件が1日以内といったように変化することはある。しかし、国が変わっても基本的にはタグ情報の移管手続きを経て継続的にサービスを受けられる。グローバルレベルでビジネス展開している企業にとって、この対応の可否は極めて重要だ。
現在デルのサポート拠点は、世界165カ国以上にあり55カ国語での対応を行っている。日本では、ネイティブに日本語を話せるスタッフが対応する。さらに世界に5カ所しかない「グローバルコマンドセンター」もあり「かなり手厚いサポート体制が日本にはあります」と澤井氏。
このグローバルコマンドセンターは、サポートサービスレベルを維持するための部署だ。ここではサポートの依頼連絡の時点から対応状況の監視が始まり、部品在庫の確認や発注、サービス対応要員の確保、顧客のもとへの派遣といった一連の行程が、適切に進行するよう管理する。対応遅れがないようにするには、関係者間の連絡をスムースに行い、部品調達や移動時間なども正確に把握できなければならない。日本では交通渋滞なども発生するので、時間を守るにはこうした状況も含め、どれくらい時間が必要かを判断する必要がある。
デルではサポート提供におけるさまざまなデータやノウハウをすでに蓄積している。それらを活用し、適切なサービスレベルを提供できるようグローバルコマンドセンターが監視し管理している。
GEヘルスケア・ジャパンがデルのサーバーを採用した理由
デルのサポートは多くの顧客に評価されている。たとえば、GEヘルスケア・ジャパンでは、医療現場などで利用する高性能な画像診断支援システム「Centricity Universal Viewer」(*)を搭載した「Centricity Universal Viewer 100 edition Plus 」(以下、UV100 Plus)という製品を提供している。
このUV100 Plusのためのコンパクトで堅牢なインフラとして、コンバージドシステムの「Dell PowerEdge VRTX」が採用されている。採用のポイントは、高可用性と省スペース、高メンテナンス性だった。
さらにGEヘルスケア・ジャパンが重視したのがサポート体制だ。UV100 Plusのサポートは、GEヘルスケア・ジャパンとデルが1つのチームとなって提供する。その際にも4時間以内のオンサイト対応、さらには専任のテクニカルアカウントマネージャが用意されていることで、医療というミッションクリティカルなビジネス現場の顧客が、長期間にわたり安心できるサポート体制が築ける。それが高く評価されたのだ。
デルには平日日中の電話対応でハードウェア修理にのみ対応する「ベーシックハードウェアサポート」、国内拠点での24時間365日の電話対応、4時間以内のオンサイト対応でハードウェアおよびソフトウェアの包括的なサポートを行う「プロサポート」、プロサポートのサービスに加え専任のテクニカルアカウントマネージャを置きプロアクティブで予測的な自動化サポートも行う「プロサポートプラス」、さらにエンタープライズ製品が1,000台以上ある大規模顧客向けに価格も最適化されたプロサポートプラスのサービスを提供する「プロサポートフレックス」の4つがある。
「スキルのある担当者が、きちんとネイティブな日本語で対応できる必要があります。サポートサービス利用時には顧客はトラブルに直面しており、問題を正確に表現できないこともあります。そのため、顧客の言葉に隠れているようなことも読み取り、スムースにやりとりできることが極めて重要です」(澤井氏)
プロサポートプラスでは、「SuppportAssist」というツールを使いリモートで顧客環境の監視を行っている。そこから得られたログから故障の予兆を検知し、予防保守も行っている。「エラーを自動修復可能な場合でも、それが続くようであれば部品交換となる故障に発展する可能性もあります。そういった場合には、故障前に部品を交換し修理することもあります」と澤井氏は述べる。
プロサポートプラスおよびフレックスのサービスで置かれる、専任のテクニカルアカウントマネージャの存在も重要だ。これは単なるサービスの窓口担当ではない。障害などの問題が発生したときだけに対応するのではなく、定期的な運用状況のレポートもアカウントマネージャが行う。さらに同様の機器を利用している他の顧客で発生した課題などの情報を共有したり、新しいファームウェアが出た際にどのタイミングでどのように適用したら良いかのアドバイスを行ったりもするのだ。
「こういったテクニカルアカウントマネージャが行うサービスは、他社だと高額なコンサルティングサービスとして別途提供されることも多いでしょう。デルの場合は、これが標準サービスメニューに含まれています」(澤井氏)
カスタムでさまざまなサービスを提供するベンダーは多い。デルは標準のサポートメニューに「手厚いサポート」も含めさまざまなものが用意されている。標準メニューをうまく組み合わせるだけで、顧客の環境に合わせた柔軟な対応が可能なのだ。今後は機能や性能、価格だけでなく、サービスの内容や質も含めトータルで製品価値を見極める。それができることが、賢いIT部門には必要なスキルとなるのだろう。
【注目資料】ミッションクリティカルな医療システムでサーバーに求められる要件とは?
- 資料名:GEヘルケア・ジャパン株式会社 導入事例「高性能な画像診断支援システムをコンパクトな共有インフラストラクチャに統合して仮想化環境を実現」
- 仕様:A4、4ページ、無料PDF版
- 提供:デル株式会社
製造販売:GEヘルスケア・ジャパン株式会社
販売名称:セントリシティ・ユニバーサル・ビューワ
医療機器認証番号:225ABBZX00019000号