「カリスマトリマー」を目指しカナダに留学
ブルーコートシステムズの髙岡隆佳さんは、大学時代は生物学科で細胞学の専攻していた。卒業後の進路は、研究者になるか食品会社などに就職するかと考えていた。ところが就職活動時に出会いがあった。たまたま参加した合同企業説明会で、カジュアルなポロシャツを着た人が会社の説明をしていたのだ。それは横須賀のネットワーク関連商材を扱うSI会社だった。
「日本企業のようには見えず、ベンチャーぽい印象を強く受けました」(髙岡さん)。ネットワークはもちろんPCすらよく知らなかったが、説明会でのインパクトの強さでこの会社を選んだ。
就職先は新人を甘やかしてくれる環境ではなかった。独学でITを学び苦労しながら業務をこなす日々が始まった。最初の仕事は携帯電話会社の研究所でのバックボーンネットワーク管理者だった。
「ネットワークレイヤーの物理層からデータリンク層、ネットワーク層、またバックボーンサーバ(プロキシ、メール等)までの面倒を見ることになりました。2年半ほどここで働き、強制的にネットワーク管理のスキルを身に付けることになりました」(髙岡さん)
その後は本社に戻り、「NetScreen」というファイアウォール製品を担当することになる。当時はまだセキュリティ関連のビジネスは走りの頃。販社の立場で、ファイアウォール製品導入の仕事をした。
ファイアウォールに関わる仕事は3年半ほど続いた。そんな頃に転機がやって来る。交通事故で骨折をしてしまい入院してしまう。入院中は時間が余るほどある。そこで人生を自問自答することに。当時は26歳、30歳までに何か違うことをしようと考えたのだ。
もともと生物学科に進んだのは、動物が好きだったから。そこで何か動物と関われる仕事に就こうと考え、目指すことにしたのはITやネットワークとはまったく関係のない「トリマー」だった。
「最短のパスでトリマーになるには、日本で専門学校に通うよりも海外留学するほうがいい。そこでワーキングホリデーのビザを取り、留学することにしたのです」(髙岡さん)
留学先はカナダのトロント。ここでトリミング技術を身に付ける。めきめき技術を身に付け、トリマーとしての実績を積んでいった。留学の後半ではトリミングの仕事をしながら、知り合いに頼まれWebデザインを行ったりブログを書いたりもした。