
サンディスクと言えば、デジタルカメラやスマートフォンなどで利用されるSDカードのベンダーというイメージが強い。PCの自作などをしている人ならば、信頼性の高いSSDの製品ベンダーのイメージもあるかもしれない。どちらかと言えばコンシューマ向けで名を馳せるサンディスクだが、じつは今エンタープライズ向けのビジネスにも注力している。
ミッションクリティカル領域でも実績のあるサンディスクのフラッシュストレージ
サンディスクの中でおそらくエンタープライズ向けで最も知られている製品は、2014年に買収で手に入れたPCIeバスに直接接続するNANDフラッシュベースの半導体ストレージ「Fusion ioMemoryシリーズ」だろう。これはすでに1万5000枚を超える製品が市場で利用されている。製品単独での販売以外にも、OEMの形でサーバーにFusion ioMemoryを搭載した状態での販売も数多く、たとえば富士通製のサーバー「PRIMEFLEX」にも搭載されている。富士通が手がけている東京証券取引所のミッションクリティカルな環境で利用されている「arrowhead」のシステムでも、Fusion ioMemoryは利用されているそうだ。
「もう1つ力を入れているのが、オールフラッシュストレージのInfiniFlashです」と語るのは、サンディスク株式会社 エンタープライズセールス リージョナルセールスディレクターの奥村英記氏だ。これは買収ではなくもともとサンディスク自ら開発してきたオールフラッシュのストレージ製品だ。ビッグデータ時代の大容量データを高速に扱う製品となっている。具体的なInfiniFlashの位置づけとしては、今後のOpenStackベースの環境で主要なコンポーネントであり、さらにはサーバー、ストレージ、ネットワークのハードウェアをラック単位で集約する新たな「ラックスケール・アーキテクチャ」でも重要なコンポーネントになる。

エンタープライズセールス
リージョナルセールスディレクター
奥村英記氏
サンディスクは、2016年5月にハードディスクベンダーのウエスタンデジタルに買収されている。なので現在は、ウエスタンデジタルの中の、サンディスクブランドとしてFusion ioMemory、InfiniFlashを提供している。
ウエスタンデジタルには、同社のエンタープライズ向けハードディスク製品があり、さらに日立とIBMの合弁会社だったHGSTを買収しているので、HGSTブランドのハードディスク、フラッシュストレージも持っている。
「これらを合わせればウエスタンデジタルは、じつはEMCを抜いて世界でもトップのストレージベンダーになっています」―こう語るのは、サンディスク シニアフィールドマーケティングマネージャーの山本哲也氏だ。
ウエスタンデジタルと言う会社も、多くの人にとってはPCに入っているハードディスク装置のベンダーイメージであり、コンシューマ向けとの認識が強いかもしれない。とはいえフラッシュメモリのビジネスを見れば、リテール製品が30%程度なのに対し、ビジネス向けはすでに70%を占めている。すでにエンタープライズ向けのビジネスの割合は、かなり大きくなっているのだ。
「新生ウエスタンデジタルは、ストレージベンダーと言うよりも新たなアーキテクチャデザインの会社です。インテルはCPUからアーキテクチャを語りますが、我々はフラッシュメモリの専門家としてストレージから新たなコンピューティングを作る話をします」(山本氏)
フラッシュメモリに関するノウハウでは、他には負けない絶対の自信があると山本氏。この自信は、東芝とのジョイントベンチャーで日本に半導体の製造工場を持っており、ここで世界のNANDメモリの40%以上を生産している実績があるからこそ持てるものだろう。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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