Red Hat JBoss Data Virtualizationとは
――ここではズバリ、JDVの特徴や他のデータ仮想化製品と比べて、どういう差別化ポイントがあるかお聞きしたいと思います。
河野氏 Red Hat JBoss Data Virtualizationとは、レッドハットが提供するデータ仮想化製品です。 GUIを用いて、複数のデータソースを統合した一つの仮想データベースを定義することができます。また、アプリケーションからはSQLやWebサービスで簡単にアクセスができ、様々なデータソースの「今」のデータを取得することができます。
最大の特徴はオープンソースをベースにしているところです。コミュニティのプロジェクト名は「Teiid(ティード)」です。レッドハットの社員を中心に、たくさんの人が参加して機能を拡充しています。プロダクション利用での問題は、レッドハットにて修正してお客様にパッチを提供することもできます。
差別化ポイントとしては、接続可能なデータソースが豊富なことです。レッドハットはデータベース製品を持っていないからこそ、色々なデータベース、データストアと連携することができます。最近では、Hadoop に加えApache SparkやApache Solr といったビッグデータの分析やサーチ機能とも連携しているため、多様なデータソースに対する一元的なSQL操作を実現します。
もう一つは、Java EEのアプリケーション・サーバー「Red Hat JBoss Enterprise Application Platform」が同梱されていることです。アプリケーション・サーバーの高度な仕組みである認証基盤との連携や、分散トランザクションの対応といった、高信頼性や高性能を担保できる仕組みになっています。
Red Hat JBoss Data Virtualizationで解決するものとは?
――この製品で解決するお客様の課題や、実際の事例があれば教えてください。
河野氏 まずはデータ統合の高速化です。日々変わっていくシステムのデータを統合するために物理的な統合で実現しようとすると、ハードウェアやソフトウェア、構築のための工数が膨大になります。また、導入だけではなく、統合処理の変更時の時間もかかります。それが仮想統合によって導入コストやスピードを大幅に改善することができます。特に、システムを変更した場合に、仮想統合は既存システムの切り離しと新規システムの追加を容易かつ迅速に実現します(参考記事:『紀陽情報システム様の導入事例』)。
高橋氏 その他には、標準データモデルの定義があります。最近は分析のためにデータ活用する例が増加しています。その中でBIツール等によりユーザーが独自にデータを加工して利用するケースも多くあります。その場合、データの再利用が難しくデータの正当性も保証ができません。それに対して、仮想統合を用いるとデータモデルを標準化して利用できるようになります。
諸橋氏 お客様と話をしていると、社内のデータがどこにどのような形式で保管されているのかの把握に苦心されています。それは管理台帳によるマニュアルでの管理が主であるからです。そこで、JDVにより社内のデータモデルを仮想データベースに取り込むことにより、社内のデータベースやデータモデルの一元管理と、一箇所からデータベースをまたいだデータモデルの可視化と横断検索が可能となります。これは、企業内のデータを活用するために求められ、かつ備えうるデータの管理と言えます。
●データ統合の各種技術とデータ仮想化を実現するRed Hat JBoss Data Virtualizationとは?
インメモリデータベースや列指向データベース。また、HadoopやNoSQL製品等の登場で大量のデータが蓄積されるようになりました。このようにさまざまなデータを活用する必要がある中で、データ統合の手法として近年特に注目されているのが「データ仮想化」です。
本テクニカルペーパーではデータ統合の各種技術とそれらが解決する課題領域を解説し、「データ仮想化」を実現する製品である「Red Hat JBoss Data Virtualization」を紹介します。本資料はデータ統合の課題を解決したい方に向けた資料です。
実際にデータ統合の際にどこから手をつければよいかわかり、またデータ統合のポイントも知ることができます。
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HPEによるJDVの導入アプローチ
――このJDVに関するレッドハットとHPEとのアライアンスの経緯について、簡単に教えていただけますか。
河野氏 JDV自体はすでに10年以上の実績がある製品で、米国では当初から技術者レベルで密接な協業を続けてきました。日本市場向けにJDVがリリースされたのは2011年ですが、そのときにもいち早くHPEさんに検証を行っていただき、その結果を両社でホワイトペーパーにまとめて公開しました。その後も両社の日本法人の技術者や担当者同士で密接に連携しながら、さまざまな取り組みを続けています(参考記事:『データベースの仮想化は、複数データソースからシングルビューを構成する新たな手法』)。
――日本企業では、どのような企業がデータ仮想化製品を導入しているのでしょうか。
諸橋氏 お客様企業の規模や業態はまちまちです。JDVのようなソリューションは業界や規模を問わず、複数のデータソースを統合して扱う必要があるさまざまな企業で導入されています。
――どのような流れでデータ仮想化製品を導入されるケースが多いのでしょうか。
諸橋氏 お客様からいくつかのデータ統合の話や異種データ連携の話をいただいた時や、「統合したら、データベースが拡大しすぎてて」とか、「そこらじゅうにデータが分散してしまったのを何とかしたい」と思っているお客様にご提案します。
その後、様々な検討を重ねた結果、JDVを入れるメリットがあると判断された時に導入していただく、という流れです。お客様ととことん付き合って適切なものをご提案するのが、私たちコンサルタントです。それを生業にしている以上、無理矢理「一つの製品が良いですよ」とは話しません。
――言い換えれば、データ仮想化以外のソリューションや製品を持っているので、顧客に対して柔軟に対応できる。そんなところもHPEの強みであるということですね。こうした選択肢の一つとしてデータ仮想化があり、実際に利用する企業も増えてきているということですね。
諸橋氏 たとえば、データウェアハウスを作っている部署の意見が強いと、そこに全部統合させればいいという話になりやすいです。そうすると残ったデータベースが、他のデータサービスで連携できたりもします。また、主管が変わってしまったために、別の製品を選択する場合もあります。
しかし、データモデルを可視化する機能は他の製品にはありませんので、データスチュワードなどデータ管理に求められる要素として必要なのであれば、JDVが選択されると思います。
――顧客に提案する際において、具体的にはレッドハットのSEとHPEのコンサルタントが一緒になって提案活動をされるのでしょうか。
河野氏 はい。お客様の要件を聞いて共同でサンプルを作成したり提案書を作成することもあります。
諸橋氏 お客様から傾聴した内容を整理している段階から、両社が一緒になってテストパターンを考えたり、PoC(概念実証)などを行って、実現したいシステムのコンセプトをお客様と議論して、形にして……という流れです。
――HPEとレッドハットが協業し、こうした形で両社が密に活動されていることで、顧客が安心するというメリットやJDVの導入価値も高まりそうですね。
諸橋氏 一緒に提案活動ができるということだけではなく、そこに至る過程においても両社で取り組める、という前提で自信を持って提案活動ができるため、私たちも安心感があります。
――具体的にはどのようなサービスやメニューなどが用意されているのでしょうか。
高橋氏 わたしたちは、JDVをはじめとしたレッドハットの製品や、各種データベースのPoCや導入・技術支援のサービスを幅広く行っています。当然のことですが、提案に際してはお客様の既存のデータベース環境などをヒアリングさせていただいたうえで、ご要望にマッチしたソリューションを提案しています。また、JDVを評価したいというお客様に対しては、PoCの支援を行うようなサービスも提供することが可能です。まずは気軽にご相談いただければと思います。
●データ統合の各種技術とデータ仮想化を実現するRed Hat JBoss Data Virtualizationとは?
インメモリデータベースや列指向データベース。また、HadoopやNoSQL製品等の登場で大量のデータが蓄積されるようになりました。このようにさまざまなデータを活用する必要がある中で、データ統合の手法として近年特に注目されているのが「データ仮想化」です。
本テクニカルペーパーではデータ統合の各種技術とそれらが解決する課題領域を解説し、「データ仮想化」を実現する製品である「Red Hat JBoss Data Virtualization」を紹介します。本資料はデータ統合の課題を解決したい方に向けた資料です。
実際にデータ統合の際にどこから手をつければよいかわかり、またデータ統合のポイントも知ることができます。
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データ仮想化のソリューションをもっと知ってもらいたい!
――データ仮想化のソリューションに関して、そのメリットや有用性に比べると、まだまだ認知度が低い印象がありますね。
諸橋氏 例えば、お客様とデータベースやデータ統合の話をしているときに、ETL、データのクレンジング、マスターデータ統合といった用語は話題に上ります。一方で、仮想的なデータ統合の世界の、メディエーター、スキーママッチング、レコードリンケージといった用語は、話題に上りません。そのため、まずはデータ仮想化とは何かを話題に上げます。お客様が興味を持っていただいたときに、JDVそのものだけでなく、各データソースやデータ連携およびシステム・アーキテクチャを含めてお話ができるようコンサルタントがお伺いしています。
――日本に比べて欧米ではよく知られているということはあるのでしょうか。
河野氏 調査会社のレポートなどでも、海外では多く出ていると思います。その中でもJDVは、Database Trend and Application で2016年のBest Data Virtualization Solution製品として表彰されました(参考記事:『Best Data Virtualization Solution』)。
高橋氏 今後扱うデータの種類や量は間違いなく増えていきます。データをクラウドに持っていく、クラウドを乗り換える、クラウドの技術が変わっていく、といったときには、抽象的なレイヤーや仮想レイヤーが必ず必要になります。そのため、疎結合化するというのは、間違いなく主要な流れになりますので、その考え方というのがこれから確実に重要になってきます。
――ハイブリッドクラウドのようなイメージでしょうか。
河野氏 そうですね。お客様のデータを、クラウドをまたいで扱っているケースは既に多くのお客様で見受けられます。クラウドを意識して利用している場合もそうですが、クラウドサービスのように意識していない場合もあります。そのようなデータも必ず一元的に扱いたくなりますよね。
諸橋氏 クラウドの中であっても、スピードが遅くなったら、速いデータベースを選択したり、構成インスタンスを増やしたり、またそれを段階的に移行していって、「あれ、いつの間にか速くなっているね」ということができます。
――ほかにも、企業合併のような組織再編もこれから増えてくると思いますが、その場合も有効でしょうか。
諸橋氏 有効です。複数箇所に分かれて配置されているデータの集合や同一箇所であっても組織間で分かれていたデータの集合を、なんらかの理由で移動したり組み合わせて扱う必要性があるときにも、データ仮想化は対策の一つと捉えていただければと思います。データのある場所などが変わることに対して、ユーザーはデータベースを何ら意識しなくて済み、データを活用しやすくなってくると思います。
――なるほど。データ仮想化はデータ活用を促進し、システムの柔軟性を高めるというわけですね。最後に何か読者にメッセージがあればお願いします。
諸橋氏 データにまつわるすべての課題に対してデータ仮想化が最適解になるとは限らないのですが、そもそもデータ仮想化というソリューションがマイナーだと思います。ぜひ、より多くの方々に、データ仮想化がもたらす価値やJDVの良さを知っていただきたいです。もし興味を持たれましたら、お気軽にご相談いただければと思います。
河野氏 無償の評価版ダウンロードもできますので、まずはお試しください。
(Red Hat JBoss Data Virtualization無償評価版)
●データ統合の各種技術とデータ仮想化を実現するRed Hat JBoss Data Virtualizationとは?
インメモリデータベースや列指向データベース。また、HadoopやNoSQL製品等の登場で大量のデータが蓄積されるようになりました。このようにさまざまなデータを活用する必要がある中で、データ統合の手法として近年特に注目されているのが「データ仮想化」です。
本テクニカルペーパーではデータ統合の各種技術とそれらが解決する課題領域を解説し、「データ仮想化」を実現する製品である「Red Hat JBoss Data Virtualization」を紹介します。本資料はデータ統合の課題を解決したい方に向けた資料です。
実際にデータ統合の際にどこから手をつければよいかわかり、またデータ統合のポイントも知ることができます。