Apache Hadoopのディストリビューターという意味では、最も後発となるホートンワークス。10月26日から開催された「Hadoop Summit 2016 Tokyo」では基調講演を主導するなど、Hadoopコミュニティでは中心的な存在になっている。ホートンワークスジャパン カントリーマネージャー Jeff Markham氏が記者向けに同社のビジネス戦略を説明した。
ホートンワークスの特徴は「100%オープンソース」
Apache HadoopはOSSの中では歴史が長く、ディストリビューションも既に各種登場している。ホートンワークスは2011年創立、2014年にはNASDAQに上場、現在では17ヶ国に展開し、全世界で従業員は1200人を超えるなど急成長を遂げている。ビジネスモデルは主にオープンソースソフトウェアのサポートサブスクリプション、コンサルティングサービス(プロフェッショナルサービス)、トレーニング。

日本法人は2014年に設立し、2015年から本格的にビジネスを展開している。社員はまだそう多くはないものの、OSS書籍の著者、コミッター、エバンジェリスト経験者など、そうそうたるメンバーが並ぶ。まさにオープンソースの精鋭部隊だ。顧客はYahoo! Japan、リクルートテクノロジーズ、リクシルなどオープンソースに関心が高い先進的な企業を抱え、ビジネスパートナーのエコシステムもパートナープログラムを整備して拡大中だ。
ホートンワークスの特徴についてMarkham氏は「100%オープンソース」と強調する。提供する製品はOSSで構成されており、サービスもOSSに関するノウハウだ。ディストリビューターではあるがライセンス販売はしていない。
一般的に多くのディストリビューターは元となるOSSに独自の改良を加え、商用版として販売している。例えばIBMなら、Apache Hadoopの無料ディストリビューションとなるIBM Open Platform (IOP) に加え、エンタープライズ向けに性能やセキュリティを強化した商用版のIBM BigInsightsがあるように。
ところがホートンワークスはやり方が少し違う。実際の製品を見ていこう。ホートンワークスのHadoopディストリビューションとなるのが「Hortonworks Data Platform(以下、HDP)」だ。データアクセスにはHDFSとYARNをベースにHive、Tez、Pig、Storm、Spark、HBase、Solrなど、データ管理にはAtlas、Falcon、Flume、Kafka、セキュリティにはKnox、Ranger、オペレーションにはAmbari、Zookeeperなど、全てOSSで構成されている。
OSSはコンポーネントが多種多様あるものの、使いこなすにはスキルを必要とするため敷居が高いという難点もある。そのためディストリビューターは性能強化だけではなく使い勝手をよくした商用製品を提供したり、サポートでビジネスにしていたりする。一方、ホートンワークスのHDPはエンタープライズでの利用を想定しているものの、ソフトウェアを販売するのではなくサポートを契約(サブスクリプション)するという形になっている。規模などでいくつかのメニューに分かれている。
サポートのサブスクリプションといっても障害対応だけではない。OSSを実ビジネスで使いこなせるようなサポートも含むようだ。Markham氏は「私たちは顧客のビジネス成功に焦点を当てている」と話す。サポートだけではなくコンサルティング的なところも踏み込む。その場合は「プロフェッショナルサービス」となる。
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加山 恵美(カヤマ エミ)
EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net
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