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ERP失敗の法則~なぜ企業システムはいつも同じところで躓くのか~

関係者に左右されずにERP導入を成功させるための社内体制とは?

第10回

「不景気になるとERP導入に関わる人間が増える」という法則があります。本来であればイニシアチブを握るべき立場にある人たちが、自分ひとりで決断を下すことを恐れるためです。しかし、無軌道に関係者が膨張すれば、プロジェクトはあらぬ方向へと迷走し始めます。今回は、本来の目的を見失うこと無く、正しい判断基準を持つために必要な社内体制について解説します。

はじめに

 北米の金融危機が引き金となった世界的な景気悪化は、国内のほぼ全業種の業績に深刻な影響を及ぼすことが確実な様相です。比較的不況に強いと言われていたIT業界ですが、それはITによる業務の効率化、生産性の向上、コスト削減といった合理化が期待できるためでした。しかし、今回は世界的な景気がどこまで落ち込むのか不明瞭で、回復のきっかけとなる足掛かりも見えません。

 とはいえ、こうした状況においても必要最小限のIT投資は遂行する必要があります。米国の調査会社などの調査レポートによると、IT投資に対する優先度が高いのはビジネスインテリジェンス(情報系、分析系システム)、エンタープライズアプリケーション(ERP、CRM、SCMなどといった基幹系システム)、サーバ/ストレージ技術(サーバ統合や仮想化技術など)といった分野だそうです。

 この傾向は国内でも同様で、実際こうした市場は堅調に推移しているようです。厳しいビジネス状況の影響を受けることは確実ですが、2000年問題対応から約10年経つこともあって、投資規模を抑えつつも老朽化した基幹システムをERPで置き換えるというケースは多いようです。

ERP導入を判断する社内関係者について

 昨年は、景気や多くの企業の業績が良かったこともあり、IT投資も積極的でした。しかし、今年はビジネス環境が一転して厳しくなったため、総じてIT投資に対して慎重になっています。こうした状況の変化は、ERPパッケージや導入ベンダーを選ぶ選定方法にも大きく影響します。

 昨年までは、豊富な機能や柔軟性など良いものであれば、多少割高でも構わないという考え方が多かったようです。しかし、今年の夏以降はとにかく必要最低限の機能を満たしている安価でコストパフォーマンスの良いものを求めるユーザー企業が増えました。

 選定に係わる関係者も変化しています。従来は、IT部門にユーザー部門と担当役員が加わるというシンプルな構成が一般的でした。ところが、最近では社長以下全ての役員と、ERPに係わる可能性がある全ての部門に関係者が拡大してきています。これが、景気が悪い時期のIT投資に最もよく見られる傾向です。

景気が悪いと関係者が増える
景気が悪いと関係者が増える

 状況が悪い時には、誰しも迷いが生じるので、できるだけ多くの関係者の同意を得た上で判断したいと思うようです。最近では、CIO職を置く企業も多くなっており、実際に社長をIT戦略や企画・調整役として、彼らが社内の意見をまとめる役割を果たす場合も見られます。

 しかし、日本におけるCIO職は欧米におけるそれとは多少のズレがあり、IT投資に対する決定権や予算執行権を持たないケースが見られます。ひどいケースだと、CIOの職務権限や執行責任が明確になっておらず、情報システム部門や管理部門を統括する権限もなかったりします。それでも、情報システム部門の業務や、システム運用の重要性についてCIOが理解していれば、企画・調整役として存在感を示すことが出来きます。しかし、こうした理解の無い事業部門の責任者がCIOに抜擢されてしまうと困ったことが起きてしまいます。

次のページ
ベンダー選定をCIOの独断で決めて失敗

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この記事の著者

鍋野 敬一郎(ナベノ ケイイチロウ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/886 2008/12/09 09:00

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