経済界の立場から、官民の壁を越えて―梶浦氏
梶浦:経団連でインターネットエコノミー、サイバーセキュリティ等の取りまとめをさせていただいております梶浦です。
最初に、官民データ活用推進基本法でございますけれども、本件に関しましては、経団連も7月にデータ活用の環境整備を求めるという提言をまとめさせていただきまして、皆様にアナウンスをしております。そういうのを汲んでいただいて、法案の成立にご尽力いただきました先生方に厚く御礼を申し上げます。
すでに多くの方がおっしゃっておりますけれども、データが経済活力の源泉です。産業界もIT活用、ICT活用とずいぶんやってきたわけですが、ICTの中身は何ですかといった場合に、それは金物ではなくてデータです。それによって色々な合理化、新しい研究開発、新しい付加価値を生んできたわけです。それを、一つの企業を超えて、あるいは業界を超えて、官民の壁を越えてできるようにいたしましょうと、オープンイノベーションを日本中でやりましょうと。こういうことが、政府の方でおっしゃっておりますSociety5.0の話にもつながろうかと思います。そういう意味で、データの活用ということに半歩前進できたことは大変評価をさせていただくところです。
一方で、個人情報保護法の改正が昨年ございました。これに関しても、経団連としては再三意見を述べさせていただきました。公聴会等でも、匿名加工情報という新しい概念を導入していただいて、そういうのに向けての地ならしはできたと思います。
ただ、この時に一つ積み残した課題が、一般の民間に対しての個人情報保護法と、既にお話が出ております行政機関個人情報保護法がアンマッチであるとです。この差をなくしてくださいと再三申し上げたのですが、結局出来なかった。さらにその先に、2000個の条例があるということにつながってくるのかなと思います。
皆様のおっしゃっておる、例えば鈴木先生のおっしゃったようなナショナルミニマムのようなものを国法で決めて、2000の条例をレギュレートしましょうと、こういうことは方向性としては全く異論はございません。ただ、私としましては、2000個問題は個人情報の問題だけではないということを一言申し上げておきたいと思います。
私自身、過去に、各自治体さんの税金の伝票、当時は3000いくつ自治体がございましたので、それらが色々な税金がある、それに督促がある、催告がある、もう帳票の種類といったら何万、万できかない位の数があるかもしれません。それが、全部銀行さんのバックヤードに入ってきて、手作業で大変なことをなさっている。それを見て、20年前のことですけれど、銀行さんと一緒に、こういうのを何とかレギュレートできないかということを調査したことがございます。その時も、業務が違っていて、それの根拠となる条例が違っていて、うちは督促がないんだよとか、私は都区内を調べただけなのですけれども、そういう相違がございました。どうしても波及する銀行さんの業務が統一できず、従って、我々が納入をするITの機械での統合処理というのが出来なかったという苦い経験がございます。
私としては、先ほど、横尾市長がおっしゃいましたとおり、プッシュ型の行政に変えると、過去から申し上げてきたことであり、既に20世紀の時に、電子政府というのは政府と政府、政府と市民を電子的手段で結ぶ新しい政府だと、こういう定義であったと記憶しております。今までは申請主義だったものを、電子的に出来ることによって、プッシュ型に変えることができる、それによってサービスが向上する、市民の満足度が上がる、当然、行政の効率化も進む、こういうようなものを既に何年も前から考えて、道半ばであるという状況です。従いまして、私としましては、本日のこの個人情報2000個問題、これはこれで賛同するところではございますけれども、もう少しこれだけの先生方がお集まりですので、もう少しパースペクティブを広げて、その他の点も含めた2000個問題というものもご議論いただければなと思います。以上でございます。
森田:はい、ありがとうございました。最後の点は国と地方の在り方の問題にもなってくるかと思います。それでは「2000個問題」に焦点を当ててということで議論を進めていきたいと思います。今度は国会議員の先生方に、この問題についてのご意見を賜りたいと思います。まず、口火は平井先生の方から切っていただけますでしょうか。先ほどは解説をしていただきまして、まだご意見はいただいていないかと思いますので。よろしくお願いいたします。