プロジェクトの途中で顧客の怒りをかってしまい、困ったことがありませんか? しかし、目の前の顧客の怒りを鎮めようとするばかりに、誤った行動をとると取り返しのつかないことになりかねません。今回は顧客を怒らせてしまった場合の対応の掟について、解説します。
日記:顧客を怒らせた!?きつーい宿題要求!
弁田君が顧客に確認したところ、顧客はまずは現状に至った原因を知りたかったのですが、後輩君は原因にはまったく触れずに「きちんと対応します」「きちんとフォローします」の一辺倒だったとのことです。
さらに、顧客が後輩君に「それではわかりません。原因は何ですか」と正すと、今度は細かい専門用語のオンパレードです。再びわからないと返すと、後輩君の口ぶりからは明らかに「面倒だなぁ、対応すると言っているのだから、それでいいだろう」といったニュアンスがありありと感じられたとのことです。ここで顧客はカチンときてしまいました。それが先ほどの報告書の要請に結びついたというわけです。

弁田君がよくよく話を聞いてみると、もともと顧客のニーズは難しいものではなかったのです。顧客は単に原因を明確にしてくれて、不安を解消してくれて、今後の対応をきちんと説明してくれれば、十分納得するつもりだったのです。
ところがますます不安になってしまうような答え方をされて、挙句の果てには面倒くさそうな態度を取られたということで、頭にきてしまったようです。顧客は口には出しませんでしたが、大方「あなたには任せられないから詳細な報告をあげてくれ。こっちで見るから」といったところでしょう。
後輩君の態度が真意ではなかったことはわかります。しかし真意がどうであれ、顧客にそのように思われてしまったこと自体が問題です。いずれにしても謝罪して事情を真摯に説明すれば、そして今後の対応をきちんと説明すれば、巻き戻しは十分可能な状態です。時間を食うだけで意味がないドキュメント作成などは、最終的には顧客にとっても迷惑な話です。後輩君に対して心の中で舌打ちをしながらも、まずは一息をついた弁田君でした。
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本園 明史(モトゾノ トシフミ)
1967年福岡県生まれ。法政大学経済学部卒業後、三菱電機東部コンピュータシステム株式会社に入社。契約エンジニア、ソフトハウスを経て、現在はウルシステムズ株式会社に勤務。
ビジネスとITのギャップを埋めるべく、発注側・ユーザ側の立場から、システム化計画立案、RFP作成・ベンダ選定支援、ベンダ管理、プロジェク...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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