先日都内で開催された「Google Cloud Next Tokyo」の基調講演で、Google Cloudの最高責任者でシニア・バイスプレジデント ダイアン・グリーン氏は「Google Cloudはリソースを共有してあらゆるところから利用できるよう常に改善しています。この改善は指数関数的に進められており、1つの革命のようなものです」と語る。改善は、日本向けのサービスのところでも力を入れている。2016年11月に日本にデータセンターを開設し、それと米国西海岸を高速な光回線で直接つなぎ動画ストリーミングなども快適に行えるネットワーク帯域の確保もされている。
もう1つGoogle Cloudで力を入れているのがセキュリティだ。FISC(金融情報システムセンター)の安全対策基準にも準拠し、日本の金融機関でも安心して使えるという。さらにGoogleでは、ハードウェア面からも独自にセキュリティを強化。Google Cloudで利用しているハードウェアには、独自に開発したセキュリティチップ「Titan」を搭載し、安全な認証の仕組みの導入されいる。またフィンランドには130名規模のセキュリティ・ガーディアンがいて、常に脅威の監視も行われている。このようにセキュリティに極めて注力していることが、Google Cloudの大きな特長だ。
またグリーン氏によれば、テストや開発環境ではなく基幹系システムを動かす環境としてもGoogle Cloudが利用されるようになっているという。HSBC(香港上海銀行)は、Google Cloudを活用しクラウドファーストの企業になっており、まずは顧客向けのアプリケーションをGoogle Cloud化し、それで顧客とのエンゲージメントの強化を図っている。
「何10億ものトランザクションから顧客の行動を識別しています。そしてGoogleのデータサイエンティストと一緒に、膨大なデータの山からリスク管理を行い迅速なレポートをするなど、さまざまなことを実現しています」(グリーン氏)
人がよりクリエイティブな仕事に集中できるようにするためにAIがある
もう1つのGoogle Cloudの強みが、G Suiteだろう。Gmailやカレンダー、ドキュメント、Google Driveなど、普段のビジネスの中で必要なツールが揃っており、これらをすでに導入している企業は日本でも数多くある。このG Suiteをきっかけに、クラウドプラットフォームであるGCPへと利用を拡大する企業も出ているようだ。さらに、G Suiteを活用して「働き方改革」の取り組みも行われており、たとえばPwCではG Suiteを導入で1週間に9時間の業務時間節約を実現した。
G Suiteで情報の共有を行うだけでなく、AI、機械学習などの技術を組み合わせることでさらなる業務の効率化ができるのもGoogleの強みだ。GoogleではAIが今流行しているからと言う理由でではなく、より人々が仕事をしやすくするために取り組んでいる。業務を進める中ではさまざまな意思決定が必要で、その際に効率的に判断をするためにAIを使う。
たとえば、AIを使えばSPAMメールかどうかの判断を機械に任せられる。さらに今後は、Eメールの文章も機械が最適なものを推奨してくれる。メールのやりとりの文章を学習し、こう返信したらいいという文章を機械が提案してくれるのだ。すでにこれは実現されており、業務の中で返信が必要なメール8件のうち1件は機械が返信しているとか。現状これができるのは英語だけだが、Googleではそれ以外の言語でもこれが実現できるようにする予定だ。AIは人間の創造性を機械に置き換えるものではない。クリエイティブな作業に人がもっと集中できるようにするためのものだ。