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トランスフォーメーションを現実化せよ~「Dell EMC WORLD 2017」で語られたこと

edited by DB Online   2017/09/07 06:00

 Dell EMCは5月にアメリカのラスベガスで「Dell EMC World 2017」を開催した。この4日間に渡るイベントのエッセンスを凝縮して日本で開催したのが「変革を現実のものに...Realize Your Digital Future with DELL EMC」。本稿では基調講演のエッセンスを同社 SE統括本部 流通・サービスSE部 部長 杉本昌隆氏が解説した。

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いま起きているトランスフォーメーションとは

杉本氏
Dell EMC SE統括本部 流通・サービスSE部 部長 杉本昌隆氏

 本論に入る前に前年のメッセージから振り返ろう。昨年の「EMC World 2016」はDellとEMCが統合してから初の開催となり、統合の狙いがあらためて開示された。当時の発表によると、統合により売上は760億米ドル、社員数14万人、世界180カ国を網羅する「世界最大の非上場ハイテク企業が誕生した」とある。

 統合の背景には急速に広がりつつデジタルトランスフォーメーションがある。近年のIT技術の進化が実現した変化と言ってもいい。これまでコンピュータの処理能力、ストレージ、ネットワークなど、ITインフラは5年で10倍のペースで向上してきた。15年なら1000倍だ。この勢いは今後15年も変わらないと見られている。

 これから15年先にITインフラが今より1000倍向上したら何が起こるか。例えば「(アメリカでは)車の半分は自動運転になる」という予測がある。ゲノム解析にかかる時間は数日から数分程度に短縮し、そうなれば医療で実現可能なことも変わるだろう。具体的な姿はまだ見えなくても、IT技術の進化が社会に劇的な変化をもたらすことは必至だ。DellとEMCの合併にはそうした将来に順応していくため、デジタルトランスフォーメーションを実現していきたいという思いが大きい。

 また非上場だったDellがEMCを買収したため、統合後は非上場の大企業となったこともEMCには大きな変化となる。上場していると四半期ごとに業績を報告するため、短期間で結果を出すことが求められがちだ。しかし非上場企業になることで、長期的な視野で取り組めるようになったのも統合のメリットとされている。

 2016年のサブテーマは「Let the Transformation Begin」で、トランスフォーメーションを始めようと促すニュアンスがあった。2017年になると「Realize Your Digital Future」となり、すでに起きているトランスフォーメーションを実感し、現実化していく段階にあるというメッセージへと変わった。

 トランスフォーメーションは言葉の意味としては「変化」や「変換」で、昆虫ならさなぎから蝶に変わるように「すっかり形を変える」ような劇的な変化を意味する。今こうしている間も刻々とどこかで変化が起きている。

デジタルトランスフォーメーションに必要な要素とは何か、どう実現するか

 さて、今年である。「Dell EMC World 2017」はラスベガスの大会場で盛大に開催された。参加者は世界122カ国から1万3500名。基調講演で同社が語ったトランスフォーメーションの柱は4つある。デジタル、IT、ワークフォース、セキュリティだ。

 まずはデジタルのトランスフォーメーションから。これはDell EMCの真骨頂のようなもの。近年ITは企業のビジネスを裏方で支えるものではなく、ITそのものが企業の競争優位性になりつつある。例えば車を持たずに移動手段を提供するUber、不動産を持たずに宿泊場所を提供するAirbnbが実現しているようなことだ。こうした全く新しい発想による新興ビジネスはそれぞれの業界に大きなインパクトを与えている。

 そしてデジタルトランスフォーメーションを実践しているのはもう新興企業だけにとどまらない。歴史ある企業も乗り出している。創業1903年の自動車大手Fordは、2016年に「これからは移動のためのソリューションを提供する企業になる」と宣言した。Fordはビジネスを自動車製造だけではなく、人間が移動するためのあらゆるソリューションへと広げたのだ。

 Fordの新しい取り組みはこれまで同社が持つ自動車製造に関するノウハウを生かしつつ、ITを活用してこれからの需要に幅広く対応していこうとする狙いがある。アメリカでは「APP LINK」というアプリを通じて自動車の操作や保守に役立つ機能を提供している。

 Fordの大胆な変容には驚かされる。しかしこれこそがデジタルトランスフォーメーションの典型例だ。デジタルトランスフォーメーションで成否を分けるのはソフトウェア。企業の強みをいかにソフトウェアに盛り込んでいくか。それも素早く形にすることが重要になる。そうなると自社で開発できる人材や環境が必要になる。企業だけが持つ強みを素早く形にするのだから、他社に依頼しては自社の強みを生かし切れないし、時間もかかるからだ。

:PDF 23ページ:Digital Transformation より速くサイクルを回す=競争優位性

 とはいえ、一般の企業で自社開発は敷居が高い。そこでアプリ開発の修行の場となるのがPivotal Labs。座学ではなく、アジャイル開発を実際に経験してノウハウを会得する。実際に受講するとPivotal Labsのスタッフが終日家庭教師のように付き添い、みっちり教えてくれる。日本だと研修場所は六本木にあり、一般企業の開発担当がなじみのSIer社員と一緒に学ぶケースもあるそうだ。

 インフラも欠かせない要素となる。デジタルトランスフォーメーションを起こすにはソフトウェア開発とデータ活用が絡み合い、循環していく環境が必要になる。アプリケーションを開発して新しいサービスを提供し、新しいアプリケーションを通じて得られたデータを分析し、そこから得られた知見をアプリケーションやサービスに反映していく。これを繰り返して改良を重ねていく。

 こうした新しい環境を構成するのはプライベートまたはパブリックのクラウド、クラウドが提供する多様なサービス、新しいアプリ開発に適した言語、素早くデリバーするために必要なツールなどなど。デジタルトランスフォーメーションで提供されるクラウドネイティブなアプリケーションには、アジャイル開発と継続的デリバリーに強いPivotal Cloud Foundryが有効だ。様々なツールを統合しているため、開発生産性や運用効率性を飛躍的に高めることができる。

 なおDell EMCではクラウドネイティブではないアプリケーションのためのプラットフォームが用意されている。場所はオンプレミスからオフプレミス(クラウド)まで、業務のタイプとしてはミッションクリティカルにはVirtustream、一般的なアプリケーションにはVMwareなどを用いたソリューションがある。

ITの最新鋭化、働き方に合わせたパソコン、セキュリティも幅広くカバー

 次にIT(システム)のトランスフォーメーション。これまでのITシステムで必要なものは維持しつつ、運用を最適化するために変容させていく。具体的にはデータセンターを最新鋭化したり、サービスのデリバリーを自動化したり、ITオペレーションを変革したりするなどだ。

 ITでトランスフォーメーションするのは大きく分けて2つ。インフラとクラウドだ。ITシステム全体の構成要素を層で分けると、下からハードウェア(サーバー、ストレージ、ネットワーク)、仮想化レイヤ、オーケストレーション、プラットフォーム、アプリケーションとなる。インフラだとハードウェアと仮想化レイヤ部分、クラウドだとオーケストレーション、プラットフォーム、アプリケーション部分を最新のものにトランスフォーメーションすることになる。

 杉本氏は「インフラをモダナイズさせる最速の方法はコンバージドシステムです。さらにクラウド運用を最新鋭化するにはDell EMCエンタープライズ ハイブリッド クラウド ソリューション(以下、EHC)があります」と話す。コンバージドシステムはあらかじめ最適化されて組み上げられたサーバーのシステム、EHCはコンバージドシステムをベースにIaaS環境を構築するためのソリューションとなる。

 ここで一般的な企業にて、現場部門のユーザーが何らかのITサービスを申請する場合を想像してみよう。まず社内稟議の申請プロセスがあり、ITシステム部門がリソースを割り当てたり、設定を調整するなど細かな作業が発生する。トータルで数週間くらいは必要になる。しかしEHCでITを最新鋭化すると、社員はパブリッククラウドを使うように必要なITサービスをカタログから選択して利用開始できるようになる。これがITをトランスフォーメーションした一つの形となる。

 続いてワークフォースとセキュリティのトランスフォーメーション。近年では日本でも「働き方改革」という言葉をよく耳にするように、働き方は徐々に変化しつつある。働く時間や場所がこれまでと変化してくると、必然的に働くスタイルに合わせたパソコンやデバイスも変わってくる。

 Dell EMCは内勤でありつつも会議などでよく移動する人向けに業界初のワイヤレス充電ラップトップ、9つに画面分割できる43インチディスプレイなどを発表した。

 そしてセキュリティも忘れてはならない。これまで述べてきたように、クラウドネイティブなアプリケーションが登場し、ITシステムが最新鋭化し、働き方が変容してくるとなると、セキュリティも対応していく必要がある。

 杉本氏は海外の事例を挙げた。ある企業は医療分野で画期的なデジタルトランスフォーメーションを実現してビジネスで急成長したものの、サイバー攻撃で甚大な被害を被った。どんなに業務やITシステムを最新鋭化できたとしても、セキュリティが不十分では元も子もなくなってしまうことがある。その点「Dell EMCは(統合により)エンドポイントからコーポレートガバナンスまでカバーできるセキュリティ対策ソリューションがそろっています」と杉本氏は示した。

図:PDF 55ページ:Security Transformation

 最後に杉本氏は同社のCSR活動について簡単に紹介した。永続的な社会実現に向けて、ペットボトルなどの海洋浮遊プラスティック廃棄物削減、小児がん治療のためのゲノム解析、都市部の子どもの貧困対策、女性起業家支援などに取り組んでいるという。

著者プロフィール

  • EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

    「EnterpriseZine」(エンタープライズジン)は、翔泳社が運営する企業のIT活用とビジネス成長を支援するITリーダー向け専門メディアです。データテクノロジー/情報セキュリティの最新動向を中心に、企業ITに関する多様な情報をお届けしています。

  • 加山 恵美(カヤマ エミ)

    EnterpriseZine/Security Online キュレーター フリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。 Webサイト:http://emiekayama.net

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