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ソフトウェア・ディファインド・ストレージの爆発的普及が始まる

edited by DB Online   2017/09/19 06:00

 本セッションのテーマであるEMCのディファインド・ストレージとは、どういう製品か。Dell EMC ソフトウェア・ディファインド・ストレージ事業の中村雅史氏は「普通のサーバにソフトウェアをインストールし、それがストレージとして動き出すというもの」と紹介した。

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オブジェクトストレージの魅力

 調査会社Wikibonは、「現在主流でEMCが得意にしてきたSANなど外付けのストレージの市場は今後、縮小していく」と予想している。替わってメインストリームになってくるのが、ソフトウェア・ディファインド・ストレージだ。IDCやガートナーも同様の見解だという。

 サーバベースのストレージは大きく2種類ある。一つは一般的なサーバにソフトウェアを入れたサーバSANストレージで、もう一つはAmazonやGoogleなどが展開しているクラウドベースのもので、ハイパースケール サーバSANストレージと呼ばれている。今後、両方とも伸びていくと予想されている。

Dell EMC ソフトウェア・ディファインド・ストレージ事業
中村雅史氏

 中村氏は「実は旧EMCの中で、Dellと合併して一番喜んでいるのは、恐らくソフトウェア・ディファインド部門ではないかと思っている」と語った。なぜなら、EMCの中では従来型ストレージと競合するため、売りづらい面があった。それが「Dellのサーバ上にソフトウェアを載せて売れます」となれば、販売網が非常に増える。「実際、Dell EMCの中で注目されていて、マイケル・デルCEOもキックオフ当時、今後、ソフトウェア・ディファインド・ストレージがDell EMCのメインストリームになっていくのではないか、と言っていたりするのです」(中村氏)。

 今回のDell EMC World 2017では、ECSと呼ばれるオブジェクトストレージの次のバージョンが発表された。加えてScaleIOと呼ばれる次のバージョンと、そうしたものを組み合わせたReady Nodeのアップデートの部分が発表されている。

 ECSは、データを「オブジェクト」として管理するオブジェクトストレージである。現在、情報システムのバックアップや、写真や動画、様々なセンサーから来るものなど、保存すべきデータの量が爆発的に増加している。

 ところが従来のファイルを階層構造で保存するような仕組みの場合、保存されているデータを探すためには、上から順番に読んでいかなければならない。そのため一つのフォルダ、ディレクトリに保存する量は、ベストプラクティスとしての上限がある。

 「オブジェクトストレージは、大きなバケツの中にどんどんデータをオブジェクトとして放り込んでいくイメージです。階層はフラットで非常に拡張性が高く、コストも下げられます」(中村氏)。

 またアクセス形態はHTTP経由でWebとの相性が良く、たとえば携帯電話から直接ストレージとやり取りできる。そのためWebサーバを通す必要がなくなる。

 地理的分散がフルにサポートされている一方、ユーザーはどこにアクセスするのか、まったく考えなくていいようなストレージになっている。

 以上の特長を持つオブジェクトストレージ。その中でECSについて調査会社のIDCは「ECSは容易に拡張できるように設計されている。スケーラブルでグローバルに分散したグローバルアクセスと、グローバルに分散した構成でもパブリッククラウドストレージと同等の経済性を提供する」とレポートしている。

 中村氏は「ECSの目標ベンチマークはAmazonのS3です。同等の経済性を提供していることが、きちんと検証で確認されています」と語る。

 実際にコストを比較したところ、使用頻度が低いデータを対象とするAmazonのGlacierというサービスより、オンプレのECSは35%低コストだった。

IoT時代へ向けた将来構想

 ECSの提供形態だが、一つはサーバとソフトウェアがセットになっているアプライアンスの形態がある。もう一つはソフトウェア形態で、Dellや他社のサーバなどにインストールすると、ECSとして動き出す。

 その他、専用クラウドとマルチテナントクラウドが、年内に提供開始予定となっている。たとえばオンプレでECSを持ち、災害対策として専用クラウドを設定するなどの利用が可能になる。

 Webサーバを介さず、クライアントから直接ストレージに対して送信する形にすると、非常にインフラを軽くする事ができる。中村氏は「開発者がそれに慣れてしまうと、どこかにデータを保存する、という書き方をしたがらなくなります。そこで今後、絶対にオブジェクトストレージが必要、という形になっていくのです」と語る。

 また「ECSの特長として、一つのファイルをたとえばS3のインタフェースで使い、また、そのままHadoopでも使えるなど、これは元々のEMCの部分が言っていたData Lakeの考え方がそのまま使える形になっています」(中村氏)。

 将来構想としては、IoTにおいてセンサーから送信されたデータをECSに保存し、リアルタイムに保存・分析を行うプロジェクトNautilusなどがアナウンスされた。

 その他、ECS関連で発表されたのは、下記の通り。

  • 30%のスループット向上
  • スナップショットの機能追加
  • コンプライアンス強化
  • IPv6サポート
  • 外部鍵管理ソリューション
  • Hadoopディストリビューションへの対応を拡張
  • Dell PowerEdge 14Gをサポート

日本ではまだまだこれから、ScaleIOの魅力

 ここで中村氏はECSと同じくソフトウェア・ディファインド・ストレージであるScaleIOに話題を移した。「ECSはオブジェクトストレージですが、ScaleIOはブロックストレージになります。」(中村氏)。

 またSANなので、複数のサーバで作ったボリュームを共有することが可能だ。HA機能やVMwareの vMotion機能など、これまでの外付けのSANでしていたことは、普通に出来る。

 中村氏は、「ソフトウェア・デファインドの良いところとして、ユーザーに一番好評なのは、ノードの追加・削除が非常に簡単にできることです」と語る。こうした機能を使えば、たとえばサーバが古くなってストレージの機能を強化したい場合、データ移行不要で新しいハードウェアに切り換えられる、というメリットがある。

 このように数多くのメリットがあるソフトウェア・デファインドストレージだが、中村氏は「ScaleIOは、ワールドワイドでは2〜3年前からから売れだしています。日本では、信頼性や性能等の認識は高まりつつあり、導入が少しずつ増えてきたところです」と語る。

 現在、ScaleIOの販売容量のうちの8割ぐらいが、VMware環境で使われているが、今後はOpenStackやDockerなども伸びると見られている。ソフトウェア・デファインドなので、コマンドライン、スクリプトなどと親和性が高く、従来の外付けストレージよりも使い易いからだ。

 「サーバを買ってきてOpenStackとScaleIOを入れ、スクリプトを一発流せば、サーバとストレージの環境が出来上がってしまう。非常に使い易いので、運用コストも下がって行くし、デプロイの速度も速くなっていきます」(中村氏)。

 また、ScaleIOは、サーバのレイヤー、ストレージのレイヤーを完全に分けることもできる。この柔軟性を上手く使えば、システム更改の際など、それまでのサーバとストレージの運用をそのまま引き継ぐことが可能なので、ユーザーには大きなメリットがある。

 さらにScaleIOは非常に軽量なエージェントで性能上のオーバーヘッドが少ない。「フラッシュ等の高速なメディアを使い、大規模にスケールアウトさせれば、スループットという意味では、どのDellEMCのストレージよりも速いストレージになるでしょう」(中村氏)。

 ScaleIOの次のバージョンに関する発表は以下の通り。

  • SSDの容量効率の向上:現在のMB単位から4KB単位の書き込みが選択可能に
  • スナップショットの機能:現在の最大32個から255個に
  • ボリュームのマイグレーション機能
  • Dell PowerEdge 14Gをサポート

Scale IOの事例

 引き続き、中村氏はScaleIOの事例を紹介した。欧米では金融機関で非常に使われ出しており、Citigroupは現在20PB使っている。コスト削減の効果は、29ミリオンドル。60%コストを削減し、40%性能が上がっている。

 ソフトウェア・デファインドの一番いいところである自動化により、管理コストを下げられた。当然、デプロイの速度も早くなっている。

 本セッションで中村氏が最後に紹介したのはReady Node。これはDell EMCの中で検証した製品の構成をソリューションとして届けているもので、購入してソフトウェアをインストールすると必ず動く、すぐに使える。

 今回発表されたのが、「ScaleIO Ready Nodes」と「Microsoft S2D Ready Nodes」だ。前者は以前からあった製品だが、構成が色々選択可能になるアップデートが行われた。

 まずScaleIO Ready Nodesだが、大手企業、サービス・プロバイダで実績のあるScaleIOをPowerEdge上で最適化したものだ。マルチOS&ハイパーバイザー対応のスケーラブルで高性能なSDSである。

 Microsoft Storage Spaces Direct Ready Nodesは、Windows Server2016標準機能を利用したハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)だ。スモールスタートが可能で、容易に導入できる。

 両社ともReady Nodesであることから、ラボにて100%構成確認済み。専用サポートで設置と運用における問題解決時間の大幅な短縮を期待できる、としてセッションを閉じた。

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