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使用頻度の低いデータをクラウドへ

 まずコンバージドではIntegrated Data Protection Appliance(IDPA)という、データ保護のための統合インフラを提供する。

 クラウドでは、Cloud DR、DDVE、Mozyといったサービスを発表した。

 EMCジャパン株式会社 DPS事業本部 北沢 佳史氏
EMCジャパン株式会社 DPS事業本部 北沢 佳史氏

 EMCジャパン株式会社 DPS事業本部 北沢 佳史氏によると、「Dell EMCにおけるデータ保護の事業本部では、データ・プロテクション・エブリウェア、クラウド・プロテクション・エブリウェア」という目標を掲げている」という。

 その製品体系を見てみると、たとえばプライベートクラウド、オンプレの環境では、“お家芸”である重複排除の仕組みを取り入れたデータ保護ストレージData Domainと関連ソリューションがある。

 クラウドへの拡張ということでは、「使用頻度が低いデータはクラウドに置いておく」という使い方がある。そのためにDell EMCではCloud Tier、Cloud Boostといった機能を提供してきた。

 さらにシステムもデータもクラウドの中に作ってしまうことになったとき、そのデータをどうやって保護するのか。たとえばバックアップソリューションであるAvamarの機能をAzure上に展開し、データ保護を実現してきた。

 加えてSalesforceやOffice 365などのクラウドサービスのデータ保護のためには、クラウドアプリのバックアップを行うSPANNINGのような機能が提供されている。

 北沢氏は「今回発表した新しい機能、製品で、ユーザーのIT環境での確実なデータ保護を可能にする品揃えを増やすことになります」と語る。

 まずIntegrated Data Protection Appliance(IDPA)は、プライベートクラウド、オンプレの環境でのデータ保護に適したコンバージド・インフラになる。

 「お客様が手元にあるITシステムのデータ保護を実現しようと思った時、恐らくバックアップ サーバと、その制御を行うソフトウェア、保管するストレージが必要になります。旧来の方法では、これらをすべて、お客様が個別に検討して導入し、運用する必要がありました。このIDPAというアプライアンスは、このデータ保護のために必要なすべての機能を一つのラックに収めて提供するというものになります」(北沢氏)。

さらなるクラウドの拡張へ

 IDPAでは、たとえばデプロイ時間の短縮ということでは、単純にベンダーが来て電源を入れて、使える状態にするまでの時間を短縮するだけでない。そのために必要だった検討時間や、様々な構築のために必要な確認の処理の時間も短縮できるのが特長になる。そこには“お家芸”の重複排除の仕組みも組み込まれている。

 IDPAにはDP5000とDP8000の二つのシリーズがあり、実効容量34テラバイトから最大3ペタバイトのストレージ容量が確保されている。

 IDPAの仕様を見ると、容量が実効容量と論理容量の2軸で表現されている。「実効容量は、具体的にお客様が利用できるストレージの容量です。それに対して“お家芸”である重複排除の機能が加わってくると、それよりも沢山のデータを格納できる、ということで計算したものが論理容量になります」(北沢氏)。

 たとえば中規模環境向けの製品「DP5300」の場合、実効容量が24TB-130TBに対し、論理容量は1.7PB-6.5PBになる。

 ただ、せっかくIDPAというアプライアンスが手に入ったとしても、ストレージやサーバリソース、ネットワークなどを個別に管理しなければならないのでは十分にメリットを享受できない。そこでIDPAの発表に併せて、それを一元的に運用管理するためのツール、Data Protection Centralも発表されている。

 続いてクラウドへの拡張というところで、北沢氏は2つの製品を紹介した。

 「Dell EMCが2016年に公開した、ITにおけるクラウドの利用方法、活用のされ方、検討のされ方のアンケート調査で、3分の1以上が災害対策への活用を検討していることが分かりました。そのニーズに応える製品が、今年の秋に提供開始予定のDD Cloud DRです」(北沢氏)。

 動作としては、最初にオンプレ環境にあるVMのイメージを、AvamarによりData Domainにバックアップする。そのイメージをCloud DRの機能によりオンプレミスにある仮想アプライアンスが読み出し、セグメンテーション、圧縮、暗号化などの処理をし、Amazon S3に転送していく。

 「キーになる所が、2回目以降のバックアップです。“お家芸”の重複排除の機能により、まだS3に転送されていないデータだけを送ります。それによりS3に必要な容量を削減し、ネットワークを効率的に使い、DRレディな状態にしてあげるということです」(北沢氏)。

 またDRが必要になったときには、AWS上に用意してある仮想アプライアンスにログインし、フェイルオーバーの処理を実行する。

 北沢氏は日頃の営業活動の中で、DR用の第2センターを持っていない顧客から「クラウドを上手く使えないか」という相談を受けることがあるという。それを可能にするのが、このソリューションだ。

 クラウド内のデータ保護ということでは、Data DomainのVirtual Edition(DDVE)3.1が発表された。

 「Data Domain自体はデータ保護専用のストレージで、重複排除の機能を持つ製品ということで、大変好評です。その仮想アプライアンスということで、たとえばVMやHyper-Vといった環境に、その機能を提供しているものになります」(北沢氏)。

 今回、DDVEをAzureやAWS上に構築して利用するパッケージが発表された。オンプレとクラウド間だけでなくクラウド間でのデータ保護、レプリケーションが可能になる。

エンドポイントデバイスを保護

 本セッションで最後に紹介されたのが、PCを始めとするエンドポイントデバイスの保護として使えるクラウドサービス「Mozy」だ。

 Dell EMCは1年に1回、データ・プロテクション・インデックスという名前でデータ保護に対する意識調査を行っているが、そこで約3割のユーザーがデータロストを経験していることが分かった。

 その中でサイバー犯罪により、エンドポイントデバイスのデータが暗号化され、アクセスできなくなったなどへの対策として、PCのデータ保護という需要が高まってきている。

 その課題に応える、インターネット回線で利用可能なクラウド・バックアップサービスがMozyだ。

 「旧来、PCのバックアップを実装しようとしたとき、そのデータ通信の経路もより確実にするためVPNを必須にする、というような制限があることが多かったと思います。Mozyはそうではなく、インターネットにアクセスできる環境であれば、PCのデータ保護が実現可能になるのです」(北沢氏)。

 PCにエージェントをインストールすることで利用可能。暗号化されたバックアップデータをリストアップしたり、自身が保護したいデータを設定したりする画面は、すべて日本語表示が可能になっている。

 「VPN回線を引くコストや、対象PCの台数に応じた保護ライセンス料、データ保護ストレージの容量などに対する懸念があると思います。クラウドサービスのMozyを使うことにより、PCのデータ保護を手頃なコストで実装が可能になるのです」(北沢氏)。

 最後に北沢氏は「今後ますますお客様のデータを保護するために必要な製品、それから機能を充実させていただきたいと思います」と述べ、セッションを終了した。

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https://enterprisezine.jp/article/detail/9746 2017/09/22 06:00

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