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DB Press

Oracle CEO マーク・ハード氏による大胆な2025年のクラウド市場予測のその後


 Oracle OpenWorld 2017の2日目の基調講演には、CEOのマーク・ハード氏が登場した。ハード氏は、Oracleでも何度もイベント等で利用しているラスベガスで前日夜に発生した、米国史上最悪となった銃乱射事件に触れ、犠牲者の方々に哀悼の意を表するところからセッションを開始した。

ビジネスを伸ばすためのIT投資をするためクラウドを導入すべきだ

Oracle CEO マーク・ハード氏
Oracle CEO マーク・ハード氏

 ハード氏はまず世界の経済状態の話題から始めた。現状、GDPの伸びは2%ほどしかなく、そのうち4割は中国の成長によるもの。中国分を除けば他の地域の成長率は1%程度しかない。実際企業の成長は、GDPの伸びと同程度の1%程度となっており、GDPが伸びないことはIT投資にも大きな影響を与えている。この場合のITはエンタープライズITであり、一方コンシューマITは年率20%程の成長率がある。

 企業では売り上げ規模がなかなか伸びない中、コストを削減して利益を確保している。コストカットをしながら売り上げを伸ばすのは、簡単なことではない。実際、2000年にフォーチュン500に名を連ねていた企業の半分はすでに存在しない。その後も企業が倒産する率は加速しており、今フォーチューン500にリストされている企業も10年後には半数以上がいなくなっているだろうと予測する。

 この状況を打破するには「新しい技術に追いついて行かなければ、かなり苦しいものがあります」とハード氏。市場全体の成長がない中で売り上げを伸ばすには、現状顧客を維持すると共に同じ市場にいる他の企業から市場を奪う必要がある。これには、積極的に新しい技術を活用しなければならないのだ。

 そしてもう1つ企業にとって大事なのがリスクの管理だ。「売り上げを伸ばしコストを削減して利益率を高くするだけではだめです。リスクを管理する必要があります。それには、今まで以上にセキュリティが重要になるのです」とハード氏は指摘する。このリスクを管理しセキュリティを高め、データを守るために必要となるのが、昨日エリソン氏が発表した自律型のデータベースクラウドのサービスというわけだ。

 セキュアなIT環境を確保するためのパッチ適用が、大手企業などでは大きな問題になっている。ハード氏が大手の銀行と話をした際には、CEOがITシステムにパッチを当てることを心配していたのだとか。パッチを当てるのに4ヶ月も5ヶ月もかかり、これが経営の大きなリスクになっていると米国の大手企業のCEOは認識しているわけだ。そういったこともあり、結局は売り上げを伸ばすためのイノベーションにはIT予算は使われずに、いまだに現状を守りリスクを管理するために、8割以上のIT予算が使われる。このあたりは、IT活用においては先進性の高いと思われている米国でも、日本と大差がないようだ。

 メインフレームの垂直統合を嫌って、ITシステムはオープン化された。このオープン化はメリットもあったが、ハードウェアやOS、データベースなどのミドルウェアを組み合わせは結果的に複雑性を生み出している。これを効率的に運用しコストを削減するには、クラウドを選択するしかないとハード氏は言う。

 「Oracle Cloudは1つしかなく、そこには複雑性はありません。データベースは1つしかなく、Oracle CloudのすべてのものはOracleのものなので、パッチを当てるのも容易です。Oracle Cloudを利用することで、リスクや複雑性を排除でき、ITコストを削減できます。これこそがクラウド利用すべき理由です」(ハード氏)

 クラウドはコストを下げるだけでなく、イノベーションももたらす。アプリケーションのイノベーションではAIが使われる。Oracleでは汎用的なAIのサービスを提供するのではなく、アプリケーションの中で直接AIの技術を使ってアプリケーションにイノベーティブな機能をもたらすのだ。さらに、前出のパッチ適用の自動化を実現する際にも、AI技術である機械学習を活用していくという。

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クラウドかオンプレミスかではなくクラウドもオンプレミスも

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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