「SAP Leonardo」は、デザイン思考の方法論とSAPの長年の業種ごとのソリューションで培った知見をあわせ、顧客のイノベーション支援のために提供するサービス。SAPの福田社長は「SAP Leonardはソリューションではない。ソリューションを含むイノベーションを生むための一連のプロセスを含むブランド」だと語る。
今回の発表にともない、福田社長はコマツの事例を紹介した。コマツとSAPは「LANDLOG」(ランドログ)という建設現場をインテリジェント化するプラットフォームを共同で開発・運営している。コマツといえば、機械稼働管理システム「KOMTRAX(コムトラックス)」が有名だが、ランドログは、コマツ、SAPジャパン、NTTドコモ、オプティウムの共創による事業で、コマツの名を冠していないところに、シェアリングエコノミーの時代の意志がこめられているという。世界中の建設現場を、3次元の地形データや建設機器の稼働状況をリアルタイムで可視化し、待機時間やプロセスの改善に瞬時に適用していく様子が紹介された。
SAPは左側の「Systems Of Record(SoR)」と右側の「System of Innovation (SoI)」を循環させる。これまでのSAPは左側の「SoR」が収益の柱だったが、現在はすでに全体の売上比率の半分以下になってきているという。とはいえ、これまでのERPの事業と大きく異なるものではなく、「SAPのDNAとしての、ものごとを因数分解して、汎用化・アセット化してお客様に提供する点では同じ」だと福田社長は言う。
「SAP Leonardo」のデモでは、空港の監視システム「ライブエアポート」が紹介された。機械学習や顔認識による空港内の人の混雑や行列の状況から、スタッフ配置によるストレス低減、クーポンサービスなどのビジネスにつなげていくなどの活用が考えられるという。他にもドイツの大規模スポーツスタジアムや病院、企業の財務・会計現場などでの導入が進んでいる。
「デザイン思考はあくまで利用者視点であることが特長。導入された事例を汎用化し、パッケージ化してどんどん提供していく」とデモを紹介した小野田久視氏(IoT&Digital Supply Chain事業部長)は述べる。
「SAP Leonardo」は、8週間以内の導入とカスタマイズが可能な「express edition」、プロトタイプの作成まで支援する「open innovation edition」、ソリューションまでを作成できる「enterprise edition」の3種類があり、すべてクラウドで提供される。