SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

直近開催のイベントはこちら!

EnterpriseZine編集部ではイベントを随時開催しております

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

DB Press

AWSのために再イメージしたRDB「Amazon Aurora」

 4月16日、Amazon Web Service データベースサービス担当副社長 ラジュ・グラバニ (Raju Gulabani)氏の来日に伴い、Amazon RedshiftとAmazon Aurora(以下Aurora)についての記者向け説明会が開催された。AWSに最適化されたAuroraの仕組みに迫る。

RDBを再構築

 グラバニ氏はAuroraについて「リレーショナルデータベースを再イメージした」と話す。2014年11月に開催されたAWSイベント「re:Invent」で初めて発表され、現在はまだ限定公開。開発に3年をかけたという。結果として出てきたAuroraはMySQL互換で高い性能を実現するRDBだ。AWSがAWSのために開発したRDBと言えるだろう。正式公開となればAmazon RDSからAuroraが選べるようになる。

 Amazon Web Service データベースサービス担当副社長 ラジュ・グラバニ 氏
Amazon Web Service
データベースサービス担当副社長
ラジュ・グラバニ 氏

 AuroraはMySQL 5.6との互換性を持つため、当初は「MySQLの新しいストレージエンジンを開発して、それに合わせてMySQLを改良したのかな?」とも思えた。しかしAuroraはそういうレベルのものではない。ほぼスクラッチからRDBを設計したイメージだ。クラウド環境、特にストレージ部分の開発にはかなり力が入っている。

 AWSが目を付けたのは実存するRDBアーキテクチャが「モノリシック」であるところ。つまりRDBでいうところのデータベースとは「SQL」「トランザクション」「キャッシング」、「ロギング」までがひとつの塊となっているということ。もしスケールアウトしようとするときにはサーバーごとにこの塊をごっそり複製する必要がある。とはいえ、オンプレミス環境ならさほど違和感はないかもしれない。

 しかしクラウド環境ではどうか。AWSのように多様なサービスを多く抱えている環境ではどうか。AWSは「(クラウド環境を前提として)いまRDBを設計したら、1970年代に発明されたときとは異なる形になるのでは」と考えた。RDBのモノリシックな塊を分解し、AWSが持つ多様なサービスと連携するようにRDBを新たに組み直したのがAuroraと考えていいだろう。

 Auroraのデータプレーンでは先に挙げたモノリシックな塊からロギングを切り離し、ストレージのレイヤーと合体させたようなイメージとなる。ここはSSDで高速化する。さらにロギングとストレージ(加えてキャッシング)にあるデータのバックアップにはAWSの安定したストレージサービスS3を利用する。コントロールプレーンにはDynamoDB、Amazon SWF、Amazon Route 53のサービスを利用。これまで培ってきたサービスを有効活用できるのもAWSならではだ。

 ロギングとストレージを担う部分はマルチテナントなSSDストレージなので、必要に応じて最大64TBまで拡張できる。書き込み時はredoログを持つ小さなセグメントで書き込み、ログページを使用してデータページを生成するという仕組みとなっている。

 この仕組みはクラッシュリカバリで違いが生じる。従来のRDB(MySQL)であればクラッシュリカバリを行うときには、最後のチェックポイント以降のログを再生する(この処理には多くのディスクアクセスを必要とする)。一方、Auroraではデータとログがセットで細切れ存在しているようなものなので、ディスク読み込みと同時にredoレコードを再生することができる。redoログの処理が分散かつ並列で行えるのも有利なところ。

 またAuroraではデータベースの塊からキャッシュも切り離されており、データベースをリスタートするときまでキャッシュは存続している。そのためクラッシュリカバリはとても早いと期待できる(とはいえクラッシュはできれば起きてほしくないが)。

 なおAuroraではロギングとストレージのデータをSSDストレージに書き込むときには、1つのAZに2つずつ、それを3つのAZに行うため、合計で6つのレプリカが存在することになる。このデータをS3にバックアップするのだから、データが消失するリスクはほぼないと考えていいのではないだろうか。データ保護に関してはかなり徹底している。

次のページ
"エンタープライズ級"の機能と性能をオープンソース価格で

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
DB Press連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/6791 2015/04/30 06:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング