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進化する脅威に備える最新セキュリティ事情

2010/04/21 07:00

企業を脅かす脅威は日々変化し進化している。しかし、企業にとっての本質的な脅威は変化していない。変化しているのは、企業のITシステムへの依存度や活用の幅であり、それに対する敵の動きであり、世間の見方や要求などである。

企業における情報セキュリティ対策では、まず、己を知ることが重要だ。自分にとっての最悪は何かをよく理解することで、それを避け続けることができる。それと同時に、敵すなわち脅威の傾向を知ることも忘れてはならない。なぜならば、よいセキュリティを実施することが目的ではないからだ。環境変化に適応し続けることが重要である。

敵を知る −最近の脅威の傾向

 最近の脅威の傾向には、明らかな変化があるといえる。従来のような、公開サイトの脆弱性を悪用し、SQLインジェクションなどの手口で侵入し、データベースなどからクレジットカード情報やアカウント情報を窃取していく事件がなくなったわけではない。しかし、公開サイトから情報を窃取するのではなく、公開サイトは踏み台にし、その利用者を悪質サイトに誘導してウイルスに感染させ、その後、利用者サイドから情報窃取をするように変化してきている(図1)。

図1:脅威の内訳(LACサイバー救急センター出動状況2009)

 なぜ、このようなことが起きるのか。意外に思われるかもしれないが、サイト改ざんが発生したとして、その原因を正確に解明するということは事実上不可能である。たとえ、Web 制作者のパソコンがウイルスに感染し、Web サイトのメンテナンスアカウントが奪取され、その結果改ざんされたという状況証拠がつかめたとしても、制作者のパソコンから盗られたアカウントがどのように改ざんを行った犯人にわたり、その情報が実際に改ざんに使用されたかを客観的に証明することは極めて難しいのだ。

 同様に、例えば個々の利用者のパソコンからクレジットカード情報を窃取して、どこかのサイトで成りすまして悪用したとして、その因果関係を証明することは難しい。

 これらのことから、犯罪者は、意識して問題として露呈しづらい方向にシフトしていっていると見たほうがよい。サイトに侵入されて情報を窃取された場合、明確な証拠をつかむのは難しいが、被害内容や規模は特定しやすい。一方、個人のパソコンから抜かれた情報での犯罪は統計をとるのも至難の業であり、しかも因果関係を推測することさえ難しいのが実態なのだ。これは、組織にとっても同様である。ある組織で悪質なプログラムにより組織内部のパソコンが遠隔地から操作され情報を窃取されたとして、別途露呈した機密情報の漏洩との関係を実証するのも大変難しく、実際には被害が出た可能性はあるが、明確な証拠はないといわざるを得なくなるのだ。このことは組織を守る上でも極めて重要なこととなる。

 一方、当然のことであるが内部犯行も想定しておかなければならない。経済環境悪化の中、雇用を確保している経営者にしてみれば泣きっ面に蜂かもしれないが、内部に犯罪者を出さない仕組みの構築が重要で、これもプロ意識が重要なキーとなる。相互に領空侵犯をしてチェックが入るからだ。しかし、それでも100%防げるものではない。

 つまり、今後は原因が不明のセキュリティ事件にどう対峙するかの仕込みが重要だ。例えば、拡散を防ぎたい営業秘密情報である場合、保護対象に透かしや特別なトラップデータを仕込んでおき、自分たちの内部から持ち出されたものであると証明できるようにしておくことなどが挙げられる。

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著者プロフィール

  • 西本逸郎(ニシモト イツロウ)

    株式会社ラック 取締役 常務執行役員 最高技術責任者。 昭和33年福岡県北九州市生まれ、熊本大学工学部土木工学科中退。昭和61年 株式会社ラック入社。当初は通信系ソフトウェアやミドルウェアの開発に従事。 1993年シーメンスニックスドルフ社と提携、オープンPOS(WindowsPOS)を世界に...

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