発表された各技術の特徴
1. 人のノウハウを活用した学習技術
実世界で起こる状況を把握するためのフィールド調査を行うには、データ収集に大きなコストがかかるため、より少ない実験回数で学習することが求められる。この技術は、業務や領域での専門知識を持つ人の物事の因果関係に関するノウハウ(肥料の成分と植物の育成の関係、等)を数値化して活用する。これにより、学習効率の高いデータを能動的に収集し学習を行えるので、より少ない収集データで学習することが可能となり、データ収集コストを下げることができる。
2. 類似度に基づいてパラメータを推定する技術
複雑なシミュレーションを行うには多数のシミュレーションパラメータが必要で、実データに合わせて正しくパラメータを調整する必要がある。しかし、実データが少なく、初期パラメータの見当がつかないと、従来の技術では実データに合うようなパラメータを推定できず、正確なシミュレーションが行えない。この技術では、パラメータ値の異なる複数のシミュレーション結果の類似度に基づいたパラメータ値の修正を繰り返して、正しいパラメータ値を推定する。
3. 複数分割による効果見積り技術
効率的な資産配分の決定など、データから学習した結果に基づいて人の意思決定を支援することが期待される。しかし、学習データが少ないと、意思決定による効果を大きめに見積もってしまうという課題があった。この技術は、収集したデータを学習用と効果評価用に複数の分割パターンを準備し、それぞれの効果評価結果を平均して、より正確な効果を見積もる。これにより、少数データの偏りに影響されにくく、より正しい意思決定ができるようになる。