膨大な情報を収集し、それを自在に分析することが可能になった現在、様々な業種でビッグデータの活用が進んでいる。非金融機関による金融事業への進出が進展しており、トランザクションレンディングは、金融事業の中でもデータを利活用した代表的なサービスとなっている。従来の融資判断では財務諸表などが使われてきたが、トランザクションレンディングでは、入出金等の取引履歴のデータを活用する。
「トランザクションレンディング」とは、事業や財務・年収情報に基づく返済能力の評価および資産・担保の評価を柱とする伝統的な融資とは異なり、これまで融資審査時に利用されてこなかった売買や資金決済、顧客評価などの取引履歴(トランザクション)等のさまざまなデータを収集、モデルによって信用力判定・融資条件決定を行う枠組みになる。
サービスの概要および特徴
トランザクションレンディングは、企業が保有している取引履歴のデータを活用するため、従来よりも短い審査期間で融資判断を可能とする特性がある。そのため、サイクルの早いビジネス環境下においても、企業の資金ニーズに応じた迅速な資金調達を可能とし、競争優位を確立することができる。他方、非金融機関による金融事業への参入は、企業における経済圏の拡大や顧客の囲み込みにつながることから関心が高まっている。
そのためトーマツは、トランザクションレンディングの特性を活用した新たなビジネスの導入を検討する非金融金融機関向けに、金融事業参入の支援を行うという。
1. 事前調査から導入計画まで支援
トランザクションレンディング導入の事前調査(事例調査、自社保有データの利用可能性検討、ビジネスモデルの検討)から、スコアリングモデルの作成、ビジネスモデルの構築、およびトランザクションレンディング導入計画を支援。
2. データ活用における課題を解決
様々な場面においてデータの活用が問われる今、データ活用は企業にとっても重要な課題の1つになる。従来の財務データだけでなく、IoT等を通じて収集された取引データや在庫情報、顧客情報など企業が保有するビッグデータをトランザクションレンディングにおいて活用することで、データ活用における企業の課題を解決する。
3. 専門チームを組成
サービス提供にあたっては、金融ビジネス、信用リスクアドバイザリーの専門家、ビッグデータやAIを活用したスコアリングモデル構築技術を保有するアナリティクス専門家とで専門チームを組成し、実効的なアドバイスを提供する。
サービスの流れ
・フェーズ1 事前調査
事例紹介、独自データの利用価値検討、ビジネスモデルの検討、ロードマップの作成を実施。事例を基に、企業が独自に持つデータの利用価値およびビジネスモデルを検討した上でモデリングフェーズに向けたロードマップを作成。
・フェーズ2 スコアリングモデルPoC
フェーズ2では、スコアリングモデル構築のPoC(Proof of Concept:有効性の実証)、実施、事業化に向けた論点整理、およびロードマップの作成を行う。スコアリングモデルPoCでは、具体的に活用可能なデータをもとに、AIなどの分析技術も活用しながら、スコアリングモデル構築の試行をすることで、実現可能性、および導入に向けた論点を洗い出しを行う。
・フェーズ3 導入計画
トランザクションレンディング事業導入に向けた構想策定から、与信業務設計、事業導入のロードマップ策定までを行う。