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企業はプライバシー・リスクへの対応を早急に取り組むべき重要課題と認識すべき――ガートナー発表

 プライバシーを巡る議論は複雑だ。国家レベルの問題もあれば、昨今GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)と言われるプラットフォーマーが膨大な個人情報を扱うことを懸念する議論や、法規制の整備に関連した議論など、さまざまなものがある。デジタル・ビジネスでは、個人データは価値の源泉とも言われ、昨今では日本でも情報銀行の認定が始まり、個人データの利用の促進や流通を求める声も強くなっている。

 プライバシーを巡る状況は既に混沌としているが(図1)、ガートナーではプライバシーの議論は今後10年内には収束しないとみている。プライバシーの議論は、デジタルの取り組みを推進する企業においては、既にクリティカルなものになっているが、今後さらに複雑化し、高度な判断が求められるようになる。

図1:デジタル社会とプライバシー(出典:ガートナー、2019年6月)

 企業のリーダー(特にIT、セキュリティ、プライバシー担当役員や現場のリーダー)は、2019年、プライバシーに関するリテラシーを高め、備えに着手する必要がある。具体的には、以下の4つの質問に答えられるようにする必要がある。

  1. 「プライバシー」とは何か。プライバシーとセキュリティの違いとは
  2. プライバシー・リスク、セキュリティ・リスクとは何か
  3. プライバシー・リスク、セキュリティ・リスクに対して法規制が求めるものは何か
  4. 企業が注意を要するプライバシー・リスク、セキュリティ・リスクはどこに存在するか

 ここでは、まずは最初に理解すべき2点について解説する。

1.「プライバシー」とは何か。プライバシーとセキュリティの違いとは

 プライバシーとセキュリティの違いについて、明確な線引きはないが、分けて考えると議論が整理できる。

 セキュリティは、危険や脅威からの「保護」であるのに対し、プライバシーはセキュリティが導入済みであることを前提に、個人データの「扱い」に着目している。「扱い」とは、同意を得る、目的外の利用はしない、透明性を高める、要求に応える、匿名化する、などの個人のプライバシーの権利を侵害しないための一連の対応や仕組みのことを指す。

2. プライバシー・リスク、セキュリティ・リスクとは何か

 「保護」に失敗、つまり個人情報が漏洩したときに顕在化するのがセキュリティ・リスクであり、個人情報の「扱い」方に失敗、つまり個人のプライバシーの権利が侵害されたときに顕在化するのが、プライバシー・リスクになる。

 セキュリティ・リスクによって企業が被るダメージは、信頼失墜、個人データ流出への対応費用、損害賠償などがあり、深刻な場合はCEOが辞任に追い込まれることもある。個人情報に関するセキュリティ管理がずさんな場合は、規制当局からの指導や罰金などの制裁を受けることもある。

 一方、プライバシー・リスクでは、法的要件を満たさない個人データの「扱い」は制裁を受けるだけでなく、たとえ要件を満たしていたとしても、個人が気持ちが悪いと感じる限界を超えてしまえば、物議を醸し、顧客からそっぽを向かれる可能性がある。場合によっては、顧客は二度と戻ってこず、結果的にビジネスにも多大な影響が及ぶ可能性がある。

 ガートナーのアナリストでシニア ディレクターの礒田優一氏は、次のように述べている。

 「企業のリーダーは、現時点の日本の法規制や慣習がすべてだと考えるべきではありません。海外の法規制やテクノロジの動向にも着目し、一般消費者の目線で考えつつ、プライバシー・リスクが企業に及ぼす影響をIT/セキュリティの視点から分析する能力が求められます」。

 テクノロジは、人の生活を便利にし、社会を発展させることもできるが、使い方を誤れば人を不幸にし、暴走に歯止めがかからない場合には、最悪、人類を破滅させるほどのインパクトを持っている。ガートナーの調査では、消費者の3分2が、AIにより自身のプライバシーが破壊されると答えている。

 礒田氏は、次のようにも述べている。

 「人を逮捕する、人を裁く、人を採用する、人を査定するなど、その人の人生を大きく左右するような極めてクリティカルな意思決定の支援にもAIが使われるようになっています。しかしながら、学習データ、あるいはアルゴリズムにバイアスが存在する場合、当然そこからのアウトプットにもバイアスがかかります。この点は、プライバシーの域を超えて、倫理的な社会問題であるため、十分に議論を尽くす必要があると考えます」。

 ガートナーは6月10日~12日に、東京コンファレンスセンター・品川(東京都港区)において「ガートナー データ & アナリティクス サミット 2019」を開催する。

 サミットでは、「不確実な時代だからこそ、明確な目標を掲げてリードせよ」をテーマに、データとアナリティクスの活用レベルを引き上げ、不確実な環境の中でも目的を見失うことなく、デジタル経済における競争に勝利するための戦略や方式が提示される。サミットでは、上記の内容に関する礒田氏のセッションも予定されている。

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