金融機関ではRPA、FinTech、顧客向けサービスの拡充にITを活用
LOB部門におけるIT投資が積極的に行われることが見込まれる産業分野は、銀行、保険、組立製造、プロセス製造、個人向サービス、運輸、メディア、公共/公益、情報サービスになる。
金融機関の業務効率化を目的にRPA(Robotic Process Automation)の本格的な活用が開始されていることや、FinTechサービスの本格展開、電力およびガスの小売り自由化を受けた顧客向けサービスの拡充にITを活用する動きが背景にある。
組立製造、プロセス製造、情報サービスでは、製造やサービスの現場と研究開発部門が一体となり、特定の産業に特化した部門におけるIoTやコグニティブ/AIシステム、ロボティクスなどのイノベーションアクセラレーターや、ビッグデータ/アナリティクス、モビリティ、クラウドなどの第3のプラットフォームの活用が、LOB部門主導あるいはIT部門も関わる協働プロジェクトとして進んでいるとみている。
2018年の調査ではIT部門の支出がCAGR 0.5%に対して、今回はマイナス0.4%に転じた
職務機能別分析では、2018年の調査では職務機能としてのIT部門の支出が0.5%の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)に対して、今回の調査ではマイナス0.4%と初めてマイナスに転じており、将来的にLOBとIT部門の垣根が次第になくなっていく方向と考えることができる。
職能機能別に、DXを推進する際の課題についてたずねた設問においては、どの職能においても「スキル不足、リソース不足」が上がった。これは昨年の調査でも、LOB部門が積極的にDX推進を行えない理由として、LOB部門のスキル不足、リソース不足があげられており、引き続きリソース不足が変わらずにDX推進のハードルとなっていることが浮き彫りになっている。
IDC Japan ITスペンディング リサーチマネージャーである村西明氏は、「今回の調査で初めてIT部門の支出がマイナス成長に転じており、将来的にLOBとIT部門の垣根が次第になくなっていく方向にある。ITサプライヤーは、ユーザー企業のDXを支援するために、ユーザー企業のIT/LOB双方の協働を促すための、仕組みづくりが今後重要になる」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行した「国内IT市場 LOB支出 産業分野別/企業規模別予測、2019年~2022年」にその詳細が報告されている。