東京医科歯科大学医学部附属病院と日立システムズは、より多くのがん患者に治療の機会を提供するため、RPA等を活用したシステムの共同開発を通じて、がんゲノム医療の事務作業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んだことを発表した。
がんゲノム医療においては、がん遺伝子パネル検査を実施後、検査結果に基づき適切な治療を行うため、遺伝子変異データや臨床情報に加えて、「がんゲノム情報管理センター(C-CAT)」から、ゲノム変化に対する解釈や臨床的意義付けを行うための医学文献・薬剤・治験・臨床試験などの情報を入手。そのうえで、複数の専門家によるエキスパートパネルでの症例検討を行うという。
そこで、同院はこれまでは手作業で行われていた、がん遺伝子パネル検査結果のダウンロードやC-CATへの調査依頼、遺伝子変異データの抽出とエキスパートパネルの実施に向けた資料作成、エキスパートパネル出席者の情報管理、C-CATからの調査結果の記録など、一連の事務業務をデジタル技術を活用して効率化する方法を検討している。
日立システムズは、RPA等のデジタル技術の活用により業務効率化を支援する「業務効率化支援サービス」や医療情報分野の知識を有した人材、さらには、多くの企業の業務改革を支援した実績を生かして、同院とシステムを共同開発し、がんゲノム医療の事務作業におけるDX実現を支援した。
これにより同院は、患者1件あたりに約22分かかっていたがん遺伝子パネル検査やエキスパートパネルに関わる事務作業の時間を、約94%削減することができたという。これにより医師などの医療従事者は、より付加価値の高い業務に集中できるようになっている。
今後、両者は、共同開発したがんゲノム医療の事務作業を効率化するシステムやノウハウを、がんゲノム医療連携病院をはじめとする他の医療機関向けにも幅広く提供し、がんゲノム医療のさらなる普及と発展に貢献していくという。
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