2023年12月7日、Boxは「Box AI」ベータ版提供開始にともなう記者説明会を開催した。
冒頭、Box 製品戦略担当バイスプレジデント Rand Wacker氏が「来日にともない多くの企業と話してきたが、データが散在しているという問題は他国よりも差し迫っている。これは言い換えれば、働き方などを変える大きなチャンスでもある」と話すと、同社が掲げる“コンテンツクラウド”というコンテンツライフサイクルを管理するためのプラットフォーム戦略を提示。生成AIを用いることで同戦略を強化できるとして、「Box AI」という新機能を発表した。
Box AIは、OpenAI社のLLMを用いており、自然言語による問いかけでファイル中の文書を要約したり、特定の情報を見つけたりと有効な“ビジネスインサイト”が得られると強調。他にも、「Box AI for Notes」という機能では、コンテンツの作成、既存文書の添削、校正なども可能だとして「私自身も日々利用している」とWacker氏は述べる。
説明会では、Box Noteにおいて「2024年度の建設業界におけるIT部門の課題を教えて」と投げかけ、Box AIの回答からアポイントメントをとるためのメール文書作成を依頼するデモンストレーションを実施。既にBox Japan社内で同様のユースケースが見受けられるとBox Japan 専務執行役員の佐藤範之氏は紹介する。なお、Box AIは基本的な利用においては追加料金なしで提供するとしており、Enterprise Plusの販売が伸びている中で他社との差別化を図る狙いだ。来年には下図のような機能アップデートも予定しているという。
次に、野村総合研究所(NRI)DX基盤事業本部 シニアチーフエキスパートの村田龍俊氏が登壇。同社ではハイブリッドワークを推進する中、VPN利用からゼロトラストアーキテクチャに基づいてシステム環境を整備し、コンテンツの統合管理のためにBoxを採用しているという。はじめに社員向けのテナントを設けた後、パートナーやグループ企業に対する外部ユーザー用のテナントを設置。Box GovernanceやBox Shieldなどを用いて社外ユーザーとのコラボレーションも行っており、特に「リテンション機能」「ごみ箱機能」などを活用することで法令で定められた保存期間を遵守したり、退職社員による不正持ち出しを抑止したりと「セキュリティ水準を保ちながらコラボレーションを促進している」と村田氏は説明する。
今後同社では、“Boxエコシステム”を拡大していくとして下図のような仕組みを検討。提案書や設計書などの社内ドキュメントに対してBox AIを既に試用しており、村田氏は「アクセス権に基づいて重要情報を安全に利用できる点がメリットであり、ファイルの複製も発生せず、生成コンテンツもBoxで管理できる」と評する。リリースを控えている「Box Hubs」についてもコラボレーションが促進されると期待を寄せて締めくくった。