オムロンとNTTドコモビジネス(旧 NTTコミュニケーションズ)は、Catena-Xなどデータスペース活用によるサプライチェーン間での安全かつスムーズな企業間グローバルデータ連携の実現を目指し、製造現場(OT)と外部ネットワーク(IT)を連結した「セキュアデータ連携ソリューション」提供に向けて連携を開始した。
また両社は、今後本格化するManufacturing-Xなどの国際データスペースの社会実装に向けて、東京大学大学院・情報学環の越塚登教授が主催する「東京大学データスペース技術国際テストベッド」に参画し、産学連携による共創を促進していくという。
Industry4.0の進展やIoT、AI、ロボットの普及により、製造業界ではサプライチェーンのグローバル化・複雑化が進んでいる。これにともない、企業全体の生産性やエネルギー効率の向上、コスト削減や納期短縮が求められており、安定した事業継続と競争優位性の確保には、サプライチェーン全体のレジリエンスの強化が急務になっているとのことだ。加えて、地政学的リスクやESG対応、自然災害、サイバーセキュリティ脅威など、様々な外的要因への対応が求められる中において、サプライチェーン全体の可視化や情報共有の効率化、企業間のデータ連携の強化が不可欠だとしている。
しかし、製造現場では現場機器・装置ごとのデータ形式や接続方法が異なるため、データの収集・分析が難しいという。加えて、IoT分野の専門人材不足や、収集したデータの活用に必要なソフトウェア、ネットワーク、クラウドの設定・運用のノウハウがないなど、データ利活用に関する多くの課題が存在しているとのことだ。
また、OTとITはセキュリティや運用上の理由から分離された環境で構成されており、相互接続には慎重な設計が求められる。そのため、クラウドとの連携や外部でのデータ活用には技術的・安全性の面で多くの障壁があったという。
近年では、こうしたOTとITのデータ連携を企業内にとどめるのではなく、企業間でもデータ主権を守りながら安全かつ効率的にデータを共有・連携できる新たな仕組みの必要性が高まっているという。
オムロンとNTTドコモビジネスは、2022年10月から、オムロンが強みとする工場・製造現場におけるファクトリーオートメーションの技術と、NTTドコモビジネスが持つITソリューションを活かし、Catena-X標準データスペースなどとの接続に向けたソリューションの共同開発および実証実験に取り組んできたとのことだ。
そして今回、カーボンニュートラルに必要な現場データの収集・集約が実現できるオムロン製品の販売と、セキュアな通信環境を整えたNTTドコモビジネスのサービスが提供可能になったことから、セキュアデータ連携ソリューションの提供に向けた連携を開始したと述べている。
連携概要
オムロンが開発した「データフローコントローラ」は、製造現場のデータ収集・分析・可視化を容易に行えるエッジコントローラだという。一方、NTTドコモビジネスは、通信キャリアならではのネットワーク組込型セキュリティを備えたNaaS「docomo business RINK WANセキュリティ」および「docomo business SIGNTM」を提供するとのことだ。
オムロンのデータフローラコントローラに、NTTドコモビジネスのネットワークサービスやセキュリティサービスを接続することで、製造現場のOTデータを簡単かつ安全にクラウドやデータスペースへ接続することが可能になるとしている。両社のOT技術とIT技術を連携したセキュアデータ連携ソリューションの提供により、企業間で信頼性が担保されたデータの共有・連携が可能な基盤を構築し、製造業のカーボンニュートラルやデジタル化による競争力強化に貢献すると述べている。

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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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