「インフラで社会貢献」を謳う日立製作所が取り組むグリーンIT施策のひとつとして、データセンター省電力化プロジェクト『CoolCenter50』がある。日立製作所 エンタープライズサーバ事業部の山本章雄氏は、「クラウドの流行などにより、今後ますますデータセンターにIT機器が集約されるようになり、課題も増えていくだろう」と語る。

今回追加される「冷媒自然循環システム」は、日立が日立プラントテクノロジーと共同開発した「冷媒自然循環技術」を活用した空調システム。本システムでは、サーバなのどIT機器の熱を吸収した冷媒が気化し、上昇する力と、熱交換器により冷却された冷媒が液化し設備の高低差などを利用し下降する力を活用することで、電力による動力源を用いずに冷媒を循環させることができる。

また、外気温が10度以下の場合はチラーを用いずに、外気のみで冷水を冷却できる「フリークーリングシステム」を活用でき、空調システムにかかる電力コストを低減する。
JEITA(電子技術産業協会)によれば、データセンターの消費電力の28%を空調が消費しているという。これに対し、本システムでは、この空調電力コストを67%まで削減できるとのこと。
また、冷媒自然循環システムの提供と同時に、モジュール内の稼働状況を管理・監視する「監視制御盤」に、空調機の切り替えなどの制御を自動的に行う「機能拡張モデル」を追加、自動的に空調を制御することで、センター管理者の運用負担を軽減する。
日立製作所では、省電力データセンタのための最適設計された設備をトータルシステムとして事業展開。製品・サービス拡充によるターゲット拡大と、欧州を皮切りとしたグローバル展開などを戦略として、2010~2012年度の3年間で150億円の売上げを目標としている。