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「Devin」のCognition AIがついに日本法人設立、不可能なモダナイズが“可能”になる時代がやってきた

 完全自律型ソフトウェア開発AIエージェント「Devin」で知られるCognition AI(以下、Cognition)が、ついに日本法人を設立した。

 2023年に創業した同社だが、既に日本でも、みずほ証券、DeNA、MUFGなど、続々と大型の導入事例が発表されている。今回、日本法人の設立に合わせて都内でフラッグシップイベントのローカライズ版「Merge Tokyo」が開催されたが、創業4年目のスタートアップとは思えない本格的な規模のイベントだった。

 キーノートには、共同創業者のラッセル・カプラン氏が来日登壇した。「世界中でソフトウェアエンジニアリング人材が不足しており、日本は特に深刻だ」とカプラン氏。ソフトウェアの需要が、開発キャパシティを大きく上回っていると指摘した。

不可能なモダナイゼーションが“可能”になってしまった

 日本に限らず、世界中のエンタープライズ企業では数十年前に構築されたシステムが未だ稼働しており、その構築に携わったエンジニアは既に会社を去っているということも珍しくない。IT予算の大部分が、未来の構築ではなく「維持」に費やされていることは多くの方がご存じだろう。

 しかし、AIの登場がこの状況を変えつつある。カプラン氏は、ソフトウェア開発の体験における進化の変遷を“3つの波”として振り返った。

 第一波は「コパイロット(Copilot)」の時代だった。コンピューターでコードを書いている間もリアルタイムで補完候補が表示されるようになり、開発スピードが劇的に向上した。

 第二波は、「エージェント型IDE」の登場だ。単なるAIチャットやタブ補完だけでなく、ローカルエージェントを指揮・制御するための完全な開発者インターフェースである。Cognitionも、2025年にエージェント型IDEの「Windsurf」を買収した。

 そして現在訪れているのが第三波、「クラウドAIソフトウェアエンジニア」への進化である。「それはCopilot(副操縦士)ではなく、Co-worker(同僚)だ」とカプラン氏は語る。AIに仕事を丸ごと任せると、プルリクエストの統合からタスクの完了、チケットのクローズまでをこなしてくれる、完全自律型のソフトウェアエンジニアリングAIだ。それがDevinである。

 同氏はこの変化を、「ソフトウェアの『豊穣』の時代」の到来だと訴える。2026年に入ってわずか数ヵ月で、日本のCognitionユーザーは既に2025年全体を上回る数のプルリクエストをマージしているというデータが明かされた。驚異的な変化だが、同氏は「驚くことではない」とした。そもそもソフトウェア開発の常識が変わってしまったからだ。従来の尺度で考えても仕方がないのである。

 なお、Devinは2024年3月に初披露されたが、利用可能になってすぐに、日本は世界で最も利用率が高い国になったそうだ。いつもは最新テクノロジー導入で遅れをとる日本で、米国よりも急速に浸透したのである。これが、同社の日本進出の決定打となった。

「既存のシステムとどう連携するか」が難題だった

 自律型ソフトウェア開発は新たなプロダクトを迅速に生み出すが、既存のシステム、すなわち組織が長年運用してきたIT環境と連携できなければ意味がない。Cognitionは、最初の製品がローンチに至るまで、この難題をどう解決するか試行錯誤してきた。

 まず近代化(モダナイゼーション)において必要なのは、“既存コード”を理解することだ。

 「歴史ある企業の多くは、古いバージョンのJavaやCobol、Pythonに移行しなければならないSAS、PySparkに移行していないInformaticaなど、非常に大規模なレガシーコードベースを抱えています。そしてエンジニアは、前任者が遺したアーキテクチャや技術的負債に苦しめられています」(カプラン氏)

 モダナイゼーションがITのバズワードのように叫ばれているが、実際の現場のタスクは複雑かつ膨大で、苦痛が大きすぎる。だから、多くの組織が必要性を認識していながらも躊躇してきた。

 ただし、AIソフトウェアエンジニアの登場により、AIが既存のコードを一度理解してしまえば、あとは急速に近代化が進んでいく世界がやってきた。リソースの厳しい組織で以前は取り組めなかったITプロジェクトが、可能になってしまった。これがDevinのインパクトだ。

日本法人代表に正井拓己氏が就任

 新たに設立された日本法人の代表には、正井拓己氏が就任した。IBMやMicrosoft、Workdayなどの日本法人で要職を歴任してきた人物だ。直近では、Datadog日本法人の代表を務めていた。

 イベントの合間には、カプラン氏と正井氏がインタビューに応えてくれた。EnterpriseZineでは、近日中にその内容を記事として公開する。

【左】Cognition AI Japan合同会社 社長 兼 ゼネラルマネージャー 正井拓己氏/【右】Cognition AI, Inc. 共同創業者 兼 社長 ラッセル・カプラン(Russel Kaplan)氏

【左】Cognition AI Japan合同会社 社長 兼 ゼネラルマネージャー 正井拓己氏

【右】Cognition AI, Inc. 共同創業者 兼 社長 ラッセル・カプラン(Russel Kaplan)氏

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この記事の著者

名須川 楓太(編集部)(ナスカワ フウタ)

サイバーセキュリティとAI(人工知能)関連を中心に、国内外の最新技術やルールメイキング動向を取材しているほか、DX推進や、企業財務・IRなどのコーポレート領域でも情報を発信。武蔵大学 経済学部 経済学科 卒業。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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