New Relicは5月21日に記者説明会を開催。4月1日付けで執行役員社長に就任した古舘正清氏らが登壇し、AI時代における企業の「リアルタイム経営」の支援に向け、国内のエンタープライズ企業に向けた伴走型の支援サービスを強化する新戦略を発表した。
古舘氏はIT運用におけるこれまでの課題として、アプリケーション開発やインフラ管理の分業化にともない、ITの現場と経営層が分断されていた点を指摘する。これに対し同社は、システムから得られるITデータをリアルタイムにビジネスKPIへと変換する「ビジネスオブザーバビリティ」により注力するという。具体的には、システムの異常が売上や受注コンバージョン率、平均単価に与える影響を可視化し、システム起因のビジネス損失を最小化する「リアルタイム経営」の実現を支援していく方針を示した。
この方針にともない、同氏はNew Relicの立ち位置について、開発・運用向けのシステム監視(DevOps)から、AI駆動のインフラ運用(AIOps)を経て、経営判断に直結するビジネスオブザーバビリティ(Business Observability)へ転換させると述べた。アプリケーションパフォーマンスモニタリング(APM)領域における同社の市場シェアを生かし、経営層レベルへのアプローチを本格化させる狙いだとしている。
具体的な新施策と支援体制は以下のとおり。
ビジネスオブザーバビリティ・アセスメントサービスの開始
顧客の経営層を対象に、独自のアセスメントサービスの無料提供を2026年夏に開始予定だという。同アセスメントサービスでは、企業のリアルタイム経営の成熟度を、デジタルサービスや社内システムの事業KPI連動度やデータ統合度、AIOps成熟度、組織連携レベルなどの指標で評価するとしている。
これにより、経営上の損失がどこにあるのか、その構造を可視化し、改善に向けたロードマップを提示。また、同アセスメントサービスの提供開始を皮切りに、具体的な導入・運用・定着を支援する有料サービスも検討していくとのことだ。
SAP専任コンサルタント部隊の稼働開始
同社は、企業のミッションクリティカルな基幹業務の可視化を強化するため、SAP専任の技術コンサルタントを採用し、専門部隊として稼働を開始した。SAP S/4HANA移行にともなうビジネスプロセスの複雑化に対し、リアルタイムなモニタリングを通じてリードタイム短縮やROI(投資収益率)の最大化を支援するとしている。
CIO/CDO ユーザーコミュニティ構想
既存のエンジニアコミュニティに加え、技術データを経営判断に生かすための知見を共有するCxO層向けのコミュニティを設立するという。特にCIOやCDOを対象に、業種の垣根を越えたベストプラクティスの共有体制を構築するとしている。
続いて登壇した同社の瀬戸島敏宏氏は、この戦略を国内で実装するための技術支援体制について説明した。
瀬戸島氏は、国内市場におけるオブザーバビリティの役割が、2020年当時の「フルスタック監視による障害時間短縮」から、デジタル競争力強化を経て、AIを活用したインテリジェントな運用へと移行していると分析する。これに合わせ、同社の技術部門として「デリバリー強化」「ユースケース拡大」「エコシステム拡張」の3つを重点施策に据え、企業に伴走する体制への移行を進めるとした。
同社は、国内のオブザーバビリティ市場において48%のシェアを占める。今回の戦略では、この顧客基盤をもとに大企業向けの営業および技術サービスを強化し、2030年までに国内の売上高を現在の2.5倍に引き上げる目標を掲げた。
古舘氏は「日本をリアルタイム経営の先進国にしていく。ITと経営が分断されたITインフラの常識を変えていくことにチャレンジしたい」と意気込みを語った。
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