NECは9日、都内でプラットフォーム事業に関する記者説明会を開催し、プラットフォーム事業の2012年度の売上高4100億円、営業利益200億円を目指す方針を発表した。プラットフォーム事業の中期計画(V2012)として、2009年度をボトムにトップラインを拡大していく。
同社のプラットフォーム事業は、サーバーやストレージなど「ITハードウェア製品」、OSやミドルウェアなど「ITソフトウェア製品」を主軸とするITプラットフォーム事業とネットワーク事業で構成される事業。プラットフォーム事業の重点事業として、「ユニファイドコミュニケーション事業」、「クラウド共通基盤事業」、「サーバー事業」の3領域を重点事業として掲げ、投資の集中と事業領域の拡大に取り組んでいく。
「ユニファイドコミュニケーション事業」では、クラウドサービスと既存のオフィスソリューションを融合した「C&Cオフィス」をコンセプトに、オフィスICT環境を構築する新クラウドサービス「UNIVERGE Live」、新興国向けの小容量コミュニケーションサーバー「UNIVERGE SL1000」など戦略製品を投入していく。また、同社の海外での販売網を強化し、日本や北米が中心だった新業種特化ソリューションを新興国などにも展開していく予定だ。
「クラウド共通基盤事業」では、同社のクラウド基盤である「REAL IT PLATFORM G2」の強化を図り、データ量の増大や新たなサービス機会の創出に対応していく。強化のポイントとして、マルチテナント処理や拘束データ処理の強化、クラウド運用やクラウド間連携の強化、リソースの効率利用と仮想化対応ネットワークなどを強化していくことで、すでに展開中の同社のC&Cクラウド事業を牽引する共通基盤として提供していく。
「サーバー事業」では、クラウドの普及に伴うデータセンターでのサーバー需要を視野に、エコ製品を中心とするデータセンター向けのサーバーの強化を図り、省電力化に加え、高密度化、軽量化を徹底的に追求していく。
また、同社ですでに実績ある省電力、省スペースといったデータセンター専用モデルを海外のデータセンター市場へ展開していくことも強調した。ネットワーク事業の海外での販売網を利用し、サーバーの販路を拡大、新興国などの新規チャンネルを開拓していくことを目指すという。
同社では、2012年度の売り上げ計画として、上述の重点事業は108%成長(既存を含む全体では103%成長)、海外売り上げは109%成長(936億円から1200億円)と予想しており、プラットフォーム事業全体の2012年度の売上高、4100億円、200億円の営業利益(営業利益5%)の達成を目指す計画だ。
収益性の向上への取り組みとして、同社の山元正人執行役員常務は会見の中で、「重点事業を強化していくが、売価ダウンなどハードウェアの価格が下がっている。これを共通開発やコモンプラットフォームなどに取り組むことで、売価ダウンを凌駕する原価低減を進め、開発コストを削減してくことで着実に利益を達成させていく」と強調した。