2013年6月にOSSとして公開された「Hatohol」は、OpenStackによるOSSクラウド環境の利用促進の実現に向け、さまざまな機能拡張が行われてきた。2014年12月にリリースの「Hatohol 14.12」からは、OpenStack環境との連携機能が実装されている。
ミラクル・リナックスでは、クラウド利用の恩恵を最大限に引き出すには、 複数のクラウド環境を統合的に集約、可視化し、効率よく適切な運用管理を行っていく必要があるとして、2015年から「Hatohol」と他システムとの相互接続性を向上させるインターフェース「HAPI(Hatohol Arm Plugin Interface)」の開発に着手した。
また、ミラクル・リナックスは、経済産業省情報処理振興課が公募した「平成27年度中小企業等省エネルギー型クラウド利用実証支援事業(クラウド基盤ソフトウェア導入実証)」における「物理環境と仮想環境の統合的な監視の実現」のテーマに係る補助事業者として採択されているという。
「Hatohol」がクラウド運用の課題解決を行う有用なソリューションである評価と支援を受け、「HAPI」の開発による他環境との連携拡大を通じて、クラウド利用のさらなる普及・促進をめざすとしている。
今回発表された「Hatohol」の機能と今後の拡張予定は次のとおり。
1. 拡張インターフェース「HAPI」の整備および機能拡充:クラウド環境としてはOpenStackだけでなく、CloudStackやVMware vSphereとvCloud Air、Microsoft Azure、Amazon AWS、IBM SoftLayerなどさまざまなものがあるため、さまざまなクラウド環境、運用管理ソフトと連携できる拡張インターフェース「HAPI」を整備。
2. ユーザインターフェースの刷新:現在の「Hatohol」は、Openstack、Zabbixとの連携を意識したユーザインターフェースとなっているが、今後は複数クラウドの統合を意識した設計とする予定。
3. クラウド型トライアル利用環境の公開:ユーザが実際のシステムイメージを理解しやすいように、クラウド上に「Hatohol」およびモデルとなる監視対象を設置し、実際に動作させて見ることができる環境を公開。
4. オープンソースコミュニティの活性化、他OSS製品およびコミュニティとの関係強化:クラウドをコントロールするための試みが、コミュニティや国家事業、企業研究所で進められている。他のOSSコミュニティで紹介されている製品・サービスと、「Hatohol」との連携を視野に情報交換を重ね、相互に成長できるよう活動。インターフェース機能「HAPI」は、開発状況、仕様など技術情報、利用方法、マニュアル、モデル使用ケースのリファレンスなどをドキュメント化して随時公開していく予定。