仮想環境に対する運用管理の効率化や自動化の需要が成長をけん引
2014年は、仮想化されたシステム環境に対する監視や構成管理の効率化や、運用プロセスの自動化/最適化へ の需要の増加が市場の成長をけん引した。
従来の物理環境において表計算ツールなどで簡易的に管理されていたプロセスに対して、仮想環境への移行に伴ってシステム管理ソフトウェアを活用して効率化を図る企業が増加している。これには、仮想環境が属人的な管理では手に負えなくなっているという背景があるという。
日立製作所がシェア1位、マイクロソフトとヴイエムウェアが2桁成長
ベンダー別の売上額シェアでは、日立製作所が首位となった。2位に富士通、3位にNEC、4位にIBMが続いている。2013年に6位であったマイクロソフトが、2014年は初めて5位にランクイン。上位5社の中では、唯一マイクロソフトが2桁の成長率を達成した。
7位にランクインしたヴイエムウェアも2桁の成長率を達成しており、自社の仮想化ソフトウェアと組み合わせて仮想環境向け管理ソフトウェアの販売実績を伸ばした。
2015年は前年比5.0%増、2014年~2019年の年間平均成長率は4.5%と予測
2015年の国内システム管理ソフトウェア市場は前年比5.0%増、2014年~2019年の年間平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)は4.5%で成長するとIDCでは予測している。
システム管理ソフトウェアを活用した仮想環境のシステム管理最適化に対する需要は継続していく。さらに、仮想環境を発展させてプライベートクラウドを構築する企業も増加し、運用プロセスの自動化やITサービス管理など高度なシステム管理に対するニーズの高まりが、新たなシステム管理ソフトウェアへの投資を生んでいくとIDCでは考えている。
また、IaaS(Infrastructure as a Service)のようなクラウドサービス上で構築されるシステムの運用管理においても、システム管理ソフトウェアの活用が拡大するとみている。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの入谷光浩氏は、「今後、システムの管理対象はオンプレミス型システムだけではなく、クラウドサービス上で構築されたシステムにまで拡大していく。そこではハイブリッドな運用管理が求められるようになる。ITサプライヤーはシステム管理ソフトウェアとクラウドサービスの機能やAPIを組み合わせたハイブリッド運用管理ソリューションのベストプラクティスを顧客に提供していくことによって、運用管理の新たな市場機会を獲得していくことが必要である」と述べている。
今回の発表について詳細は、IDCが発行したレポート「国内システム管理/ネットワークソフトウェア市場 2014年の分析と2015年~2019年の予測」にまとめられている。