「IBM Watson」を活用するためには、用途別に効果的な情報をシステムに学習させることが必要になる。例えば、照会応答業務の支援サービスでは、既存の問い合わせ記録やコールログ、応答時に照会される基本情報などをシステムに学習させ、正しい回答を導くための膨大な知識のデータベースである「知識ベース」を構築する。
日本IBMは今回、すでに「IBM Watson」を活用した実績がある、もしくは専門性の高いデータを大量に保持する先進的な顧客やパートナー企業と協業し、幅広い業界・業種向けに利用可能な知識ベースの構築を推進する。これらの知識ベースを提供する企業と連携することで、「IBM Watson」を活用したコグニティブ・システムの短期間での導入が可能になるとしている。
例えば、三井住友銀行は、企業の信用力変化を示す英文ニュース記事を自動で検索し、閲覧者からの評価を踏まえて検索精度を改善しながら、ニュース記事収集に関する業務効率化および高度化を支援する学習済みの知識ベースの構築に取組み、検証を行った。
三菱自動車工業株式会社は、不具合の兆候把握や未然防止に繋がる情報や顧客の声(VoC:Voice of Customer)情報などの非構造化データを可視化する知識ベースを構築した。トランスコスモスは、長年に渡るコールセンター運営の知見を活かし、損保業界向けから、汎用的なQ&Aシナリオ、Windows PCの基本操作情報をQ&Aの形でまとめたものまで、複数の知識ベースを構築したという。