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■■■民法改正!判例に学ぶIT導入改善講座―失敗しないプロジェクトの掟■■■
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ユーザの要件追加変更を制御するのはベンダの役割?
この考え方は平成16年3月10日に東京地方裁判所が示して以来、IT紛争に関する一つの定番となり、例えば有名なスルガ銀行と日本アイビーエムの裁判でも取り入れられました。
<<参考:プロジェクト管理義務の例>>
- ユーザから追加の要望があれば、それがプロジェクトに与える影響を考慮し必要であれば、納期やコストの変更を申し出る。
- 必要に応じて代替案を提示し、元の案とメリットデメリットを比較検討する。
- プロジェクトにおけるユーザの役割を説明し、十分に関与する
- プロジェクトの進捗、リスク、課題等を管理し、問題があればユーザも巻き込んで解決を主導する。 等
しかし実際にシステム導入プロジェクトに入ってみると、このベンダのプロジェクト管理義務を果たすのは相当に困難だと言うことが分かります。ベンダにとってユーザは”お客様”です。プロジェクトの進行を妨げかねない要望も、むげに断ることはできませんし、まして追加見積を出すことなど顧客満足度を考えると、そうそう簡単にはできません。結局は我慢して飲んで、最悪、スケジュールが守れないときにはユーザに ”許してもらう”、お金が足りなければ赤字を背負って、話の通じるユーザなら追加開発時に少しだけ上乗せしてもらう、といったことを落としどころにする例が多いようです。実際、前出の判決の話をすると、多くのベンダからは「これは現実的ではない。」といった悲鳴が良く聞かれるのも事実です。
一方のユーザサイドからこのプロジェクト管理義務を見るとどうでしょうか。ベンダがこの義務を果たすためには、ユーザにも協力義務があり、そこそこ我慢も必要ではありますが、極端な話、ベンダ側がYesと言ってくれる限り要望を出し続けられるともとれる、この考え方は自分達のワガママを肯定してくれるものと捉えることも出来るわけですから、少し安心したという方もいるかもしれませんね。