
かつては企業のIT部門の大きな悩みの1つが、経営層がITの重要性を理解していないことだった。ところがここ最近は、その状況に変化がある。IT活用は経営層の優先順位の中で、かなり上昇しているのだ。そう指摘するのは、日本CA株式会社 代表取締役社長の反町浩一郎氏だ。企業に攻めのIT化が求められる中で、DevSecOpsという独自のソリューションを掲げるCAは先日、2018年のビジネス戦略について説明会を開催した。

今は経営層が企業のデジタル化に積極的な時代
「経営層の理解のなさがIT化の足枷になっているわけではありません。むしろ経営層は、IT化を進めろと言っています」(反町氏)
経営層のIT化への積極的な要望がある一方で、やりたいことがなかなか実現できていないという現実が、CAが実施した企業の経営層への独自調査から明らかになっている。業務の現場では、経営層の要望通りにIT化が進んでいないのだ。この場合のIT化とは、従来の守りのITではなく昨今話題の攻めのITだ。反町氏によると、この経営層の要望と現場のギャップをいかにして受けとめるのか、それがITベンダーとしては重要であり、それを実現できるところにCAの価値と役割がある。
業務現場の攻めのIT化、最近の言葉に言い換えるなら企業のデジタル化を進めるために、CAは製品のラインナップを大きく拡充している。この際に自社開発はもちろん、積極的な買収でも拡充を図っている。自社開発の面では、世界的に見ても数多くの技術的特許をCAは取得しており、技術力については自信を持っているという。
また買収については、CAは年間で10億ドル以上の投資を行っている。現在主力となっている製品は、実は過去に買収を行ったものが多い。それらは既にCA製品として定着している。「かつて買収したことが忘れられるているくらいの存在になっています」と反町氏。
このように製品ポートフォリオを拡充しているのは、CAが顧客企業のソフトウェア開発のベストサポーターになりたいからだ。プログラムのコーディングを行いテストをして、それをリリースし運用する。そしてユーザーからフィードバックを得て、開発を繰り返すことになる。
「これらソフトウェア・ライフサイクルのすべての段階において、企業を包括的にサポートしていくようなパートナーに、CAはなりたいと考えています」(反町氏)
このソフトウェア・ライフサイクルには、さまざまなフェーズある。それらを統合し、開発のライフサイクルすべてをスムースにつないでいく。そのベストプラクティスを提供するのがCAの戦略となっている。ソフトウェアの開発においては、いまだに過去の経験や人に依存しているところ多い。いかにして属人化を廃し、ベストプラクティス化していくか。それを率先して実践しているところが、CAの一番の強みだと言う。
そして、このベストプラクティスを作る中で生まれたのが「モダン・ソフトウェア・ファクトリ」という考え方だ。これはソフトウェアのライフサイクルにおいて、これまで属人化してやって来たことをプロセス化することでもある。グローバルでは、モダン・ソフトウェア・ファクトリの事例が既に200以上ある。モダン・ソフトウェア・ファクトリは、コンセプトを提唱する段階から具現化するフェーズに入ってきたと反町氏は主張する。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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