国内企業におけるクラウド導入の動向
1.全体的なクラウド導入の状況
各企業においてクラウドの導入が推進されていることは、各種調査の結果からも明らかになっています。
KPMGが世界86か国、総勢4498名のITリーダーを対象とした調査結果「HARVEY NASH/KPMG 2017年度CIO調査」によると、今後1~3年以内でクラウドに投資を行う計画を立てている企業は8割以上に上ります(図1)。
国内での調査結果にも目を向けていきましょう。総務省が毎年発行している情報通信白書の「企業におけるクラウドサービスの利用動向(平成29年版)」によると、一部でもクラウドサービスを利用していると回答した企業の割合は46.9%に上るとのことです。これは2016年時点の調査結果ですので、現在は、より拡大が進んでいることが予想されます。
2.企業種別を踏まえたクラウド導入の状況
どのような企業がクラウドを積極的に導入しているのかについて解説します。
まず、システムの構築に十分な時間とコストをかけることが出来ないような企業、例えば、スタートアップの企業などが挙げられます。短期間・低コスト(従量課金による合理的なコスト)でシステム(基盤含む)を導入できるクラウドとの親和性は高いといえます。
また、システムそのものが他社との差別化要因にならないような企業も導入が進んでいます。コンテンツの中身で勝負するマルチメディア業界などが一例です。
一方、社会インフラを担う企業や既に大規模なシステム化が進んでいる企業については、クラウドの本格導入はこれからという段階です。社会インフラを担う企業のシステムには高い可用性が求められるものも多く含まれ、クラウドがそれに耐えられるかという懸念が発生していました。
大規模なシステム化が進んでいる企業については、オンプレミスからクラウドに移行するという大きな課題に直面することになり、企業インフラのあり方、ひいては企業戦略そのものについて考慮する必要がありました。ただそれでも現在は、ほぼ全ての企業が規模の差こそあれクラウドの導入を実施ないし検討しています。特に金融機関については、多くの企業でクラウドの導入がオンゴーイングで推進されている状況です。