いざ、育成期間が始まると、多くのOJT担当者が新入社員のやる気や積極性といった点について不満を抱き始めます。このような不満は疑心暗鬼を生み、OJT研修の成否に悪影響を及ぼしかねません。今回は、このような問題への対処法についてお話しします。

その不満は本当に妥当なものですか?
前回は、新入社員が配属されたとき、最初におこなうべきことについてお話ししました。ところで、実際の育成が始まると、多くのOJT指導員が感じる悩みや不満があります。それは、「新入社員が何を考えているのか分からない」「やる気や積極性が感じられない」といったものです。
確かに、新入社員の受け答えの反応が曖昧だったり、自分からなかなか質問に来ないことは事実なのでしょう。しかし、先輩社員が感じている不満は妥当なものなのでしょうか?
相手のことが分からない時こそ、知り合う努力をしよう
私たちはお互いのことが分からないと自分で相手の考え方を想定します。例えば、今回の質問にある「新入社員にやる気がみられない」という悩みにしてみても、新入社員が「自分はやる気がありません」と言ったわけではないでしょう。その表情や態度から「きっとやる気がないんだ」と先輩側が判断しているのだと思います。
この判断は正しいかもしれません。でも、本当に相手がどう思っているのかは、本人に話してもらわないと分からないことです。先輩が新入社員の表情などから何かを感じ取るように、新入社員も先輩の表情から何かを感じ取っています。「先輩なんだかイライラしてるし、ちょっと質問しづらいな。不本意だけど、ここは分かったって言ったほうが良さそうだな」と想像をしているかもしれません。
相手のことが分からないという状況は、それだけで人間関係に悪循環を生みだしてしまいます。相手のことが分からない時は、自分を基準に判断するよりも「知り合う」努力が必要です。

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森 美緒(モリ ミオ)
グローバル ナレッジ ネットワーク株式会社 ビジネススキルグループ 人材教育コンサルタント。ヒューマンスキル研修講師を担当。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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