アナリティクスの深さと幅が強み
マン氏は、IoTにおけるSASの強みを、「アナリティクス技術の深さと幅」という。
例えばオープンソースの物体検出技術であるTiny YOLOを使い、データサイエンティストに調整をしてもらうことで、動画データを認識できる。例えば、保安なら作業現場のスタッフがヘルメットを着用しているか、石膏ボードを製造する製造現場ならボードの流れでエラーが発生していないか、などだ。
しかし、「実際の作業環境に展開するかどうかを念頭に置いて考えると、それでは不十分です」とマン氏。製造現場の例なら、Tiny YOLOにプラスして、SASが適切な深層学習モデルを加えてTiny YOLOで発生するエラーを修正するなどのことが可能になるという。
これにより、顧客は現場でエラーが起きていないかを検出できるだけでなく、ボードがきちんと流れているか、速度はどうか、感覚は適切かなどの情報を得て、パラメーターの調整が可能になる。つまり、現場で実際に使えるシステムを構築できるというわけだ。「SASは、幅広く、奥深いアナリティクス技術を備えており、適切な技術を適用することでさらに拡張できます」とマン氏は強調する。これは重要な差別化だという。
IDCでは2020年までに204億台のIoTデバイスがデータを生成し、IoTアナリティクス市場が230億ドル以上になると見込んでいる。SASはこのような市場のニーズを受け、今後データの種類と分析オプションの拡大、実装オプションの拡大を図っていく。例えば振動、音声、オブジェクトの回転などが検出できるようになると、収集できるデータはさらに増える。実装オプションでは、エッジ、クラウド、オンサイトと顧客のニーズに合わせて選択できるようにしていく。
最終的には、ソリューションの使い勝手を改善し、「市民データサイエンティストなどコンシューマーレベルでも使えるようにしていきたい」とマン氏は展望した。