段階的に「全てのデータ」をカタログ化すべき
データカタログ
データカタログとは、社内で保有しているあらゆるデータ資産をカタログ化して共有し、ユーザーによる検索と活用を可能にするもの。MDMと混同しているケースも見られるが、データの場所、特徴、意味の定義までが明確化されていなくてはカタログと呼べない。櫻井氏は「データカタログには全てのデータを含まなくてはならない」と強調した。
とはいえ、最初から一気に全てのデータ資産のカタログ化を目指そうとするのではなく、目的を絞って必要なものから揃え、成果を積みながら徐々に拡張することが望ましい。一例として、とある会社では、どこに何のデータがあるかわからないという状態だった。そこで全300テーブルのサービスシステムの中から、主要なエンティティの概念モデルを抽出し、それを基に枝葉になる部分を追加することにしたというケースもある。
もちろん、データカタログの整備後も作りっぱなしにはできない。データカタログが運用フェーズに入った後は、メンテナンスを担当する開発側と、ビジネス部門など「データ分析依頼者」の間に、「データカタログ担当者」を置く必要があると櫻井氏は主張する。データカタログ担当者の主な役割は、カタログの変更情報をデータ分析依頼者に周知すると同時に、定期的なカタログの監査を行うことだ。たとえリソースに制約があったとしても、誰かがやってくれるだろうと曖昧にすることなく、兼務でもいいので最初から主担当と副担当を任命することが重要と櫻井氏は訴えた。
データマネジメント組織の立ち上げ
適切なデータガバナンスの効いたデータマネジメント推進組織の理想像として櫻井氏が示したのは、下図のようにチーフデータオフィサーを頂点とする体制である。DXを推進するビジネス部門とIT部門の両方が関わるようにし、「データオーナー」「データスチュワード」「データユーザー」の三つの役割を担当する人物を明確にする必要がある。
データオーナーとは、データを生み出す主幹組織の管理責任者もしくは責任者の付託を受けた管理者の役割。そして、データスチュワードは各データオーナーからデータを収集し、蓄積することをミッションとした主幹組織の管理責任者もしくは責任者の付託を受けた管理者であり、全体のシステムを管掌するIT部門に設置する役割である。さらにビジネス部門でデータを活用するデータユーザーを加えた三つの機能がそれぞれ縦割りにならないよう、三つの機能を束ねるデータガバナンスオフィサーを置くことができれば理想的だ。
この他、リアライズでは最後のステップである「データ移行」で考慮するべきポイントを11個にまとめた資料をダウンロードできるようにしている。データマネジメントなくして、データ分析や新しいビジネスの創造は難しい。現在のデータ分析に悩みを抱えているならば、自社のデータマネジメントの現状を見直してみることが解決の第一歩になるだろう。