コンテナ・Kubernetesの活用は企業ごとにロードマップを作ってアプローチすべし
IBMではこのOpenShiftの環境を、自社パブリッククラウドからマネージドサービスで提供している。またオンプレミスでも容易に導入・運用できるようサポートもする。さらに、OpenShiftを活用する取り組みとして「IBM Cloud Paks」も提供する。
アプリケーションをコンテナ化し動かすには、アプリケーションだけをコンテナ対応すればそれで終わりではない。アプリケーションの運用では、他システムとの連携やセキュリティ機能など、さまざまなミドルウェアを組み合わせる必要がある。IBMではこれまでミドルウェアをコンテナ化し、「IBM Cloud Private」として提供してきた。これを発展させOpenShiftに対応、目的ごとに複数ミドルウェアをセットにした「IBM Cloud Paks」として提供する。高良氏によれば、Cloud Paksは企業で使うミドルウェアを目的ごとに集めたもので、「OpenShiftベースにすることで、より安心して使える」という。
Cloud Pakには、アプリケーションの構築、デプロイ、実行のための「IBM Cloud Pak for Applications」、データの収集、編成、解析を行う「IBM Cloud Pak for Data」、マルチクラウドの可視性、ガバナンス、自動化を実現する「IBM Cloud Pak for Multicloud Management」、ハイブリッド・マルチクラウド環境で複雑化するセキュリティに対応するための「IBM Cloud Pak for Security」など、6つのPakが現時点で用意されている。Cloud Paksはあらかじめ設定されており、すぐに導入し利用できる。これを使えば「監視やログ管理など、システム管理者のジレンマから解放されるでしょう」と高良氏。
このCloud Paksも活用して、Kubernetesを使う次世代ITインフラのロードマップを提案するところから、IBMはアプローチする。ロードマップがないと、企業はなかなか正しく進めないからだ。ロードマップは1つの正解があるわけではない。企業ごとに異なり、それを企業と一緒に作り上げる。IBMにはクラウド活用の支援サービスを行う部門もあり、顧客の環境やビジネス特性に合わせた提案ができるのも特長だ。
さらにIBMには「IBM Garage for Cloud」がある。これは「企業が新しいテーマに取り組む際に、デザインシンキングを使い新しい価値をどう生み出せばいいかを共創します。このとき、コンテナ技術を使い迅速にアプリケーションを構築し試すのです」と高良氏。1ヶ月から数ヶ月といった短期間で成果を出すプログラムで、OpenShiftで迅速にアプリケーションを試作し評価する。本格的なプロジェクトに発展する場合も、OpenShiftであれば本番運用へ発展させることも容易なのだ。
コンテナ、Kubernetesは一部の先進的な企業のためだけのものではない。すべての企業が適宜活用すべきものだ。とはいえオープンソースのKubernetesでは、本番で活用するのは難しい。そこでOpenShiftを活用し、「効果の出やすいところから始めることが上手くいくコツです。そのためにもまずはロードマップをきちんと作ることが重要です」と、高良氏は改めて指摘するのだった。