バックアップ/リカバリからクラウド・データ・マネジメントへ
バックアップしたものは戻るものだと思っているかもしれないが、実は「バックアップを取得していても、4割ほどはきちんとリカバリできないのではと思います」と言うのは、ヴィーム・ソフトウェア 執行役員社長の古舘正清氏だ。バックアップを取得していても、それを使ってリストアが確実にできるかのテストを、日常的に行っている例は極めて少ない。そのため障害などが発生し、いざバックアップからシステムを復旧させようとしても上手く戻らない。あるいは戻せたとしても、手間と時間がかかる例は多いのだ。
さらにここ最近、バックアップを取り巻く環境が大きく変わっている。かつては目の前にある物理的なサーバーやストレージのバックアップを取得すれば良かった。現状は多くのシステムが仮想化されている。ストレージも例外ではなく、どのシステムのデータがどのストレージにどう格納されているかがすぐには分からない。また仮想基盤では、稼動するサーバーも動的に増減するかもしれない。
そういった仮想空間のデータを確実にリストアできるかも、現状のバックアップ/リカバリには求められる。またランサムウェアへの対応も新たな用途だ。ランサムウェアの被害を受けた際に、システムが被害を受ける直前に素早く戻す。そのために、システム全体を保護するイメージバックアップなどで対処するのだ。
Veeamは、VMwareなどの仮想化サーバー環境のバックアップ/リカバリのソリューションとして有名だ。さまざまなワークロードに対するバックアップを確実に取得し、素早くリカバリできるようにしている。仮想化の技術を使って、バックアップが確実に戻せるかのテストを日常的に行える環境も用意している。
ところで企業におけるバックアップ/リカバリ、さらにバックアップデータの活用状況は5つのステージに分けられる。オンプレミスの物理サーバーや仮想サーバーのバックアップを取得し、リカバリできるようにしておくのがステージ1だ。ステージ2はクラウドモビリティ実現で、オンプレミス、仮想サーバーのバックアップデータをプライベートクラウドやパブリッククラウドに容易に移行し、そこで復元できるようにするものだ。
ステージ3はさまざまなところで動いているシステムのワークロードを対象に、データの可視化を実現すること。どのようなところにどんなデータがあるかを明らかにし、プロアクティブなデータ管理を実現する。ステージ4は、オーケストレーションの実現だ。可視化によりどこにどのようなデータがあるかを明らかにし、適切な管理タスクを手動ではなく自動適用できるようにする。
そしてステージ5では、データ・マネジメントにおける広範な自動化を実現する。「自ら学習するAIでデータ属性を判断し、どこにどのようにバックアップするべきかの判断や、どのようなデータ保護を行うかも自動化します。ビジネスの目標に対し、攻めのデータ活用を実現するのがステージ5です」と古舘氏。これら5つのステージ全てに対応する「クラウド・データ・マネジメント」ソリューションを提供するのが、Veeamの目指しているところだと言う。