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なぜRDBMS市場が急伸しているのか? ITR、平井氏語る

edited by DB Online   2020/05/20 06:00

データウェアハウス専用のデータベース需要も増えている

株式会社アイ・ティ・アール リサーチ・フェロー 平井 明夫氏
株式会社アイ・ティ・アール リサーチ・フェロー 平井 明夫氏

ーー SaaSの需要が急激に伸びた原因は、どのように分析していますか。

平井氏:理由としてはさまざまなものがあるでしょう。本質的なところは、各クラウドベンダーが国内データセンターを整備したのが大きいと考えています。Oracle Cloudも大阪リージョンができ本気でクラウドビジネスに力を入れ始め、実際2019年の秋頃から災害対策構成込みでデータベースのクラウド化の話は増えているようです。Oracleだけでなく、Amazon Web ServicesではAuroraも伸びています。これも日本リージョンでサービス提供開始後から、大きく伸びているようです。この傾向は、Microsoft Azureもしかりです。

 データベースのデータは海外に置くとなると、クラウドの利用を躊躇うことにもなりかねません。日本にデータセンターが整備されたことで、SaaSのデータベースがいっせいに動き出した感はあります。今後国内でさまざまな事例が出てくると、この動きはさらに加速するでしょう。

ーー NoSQLデータベースも利用が増えているのではとの話がありました。NoSQLデータベースの動向はどのように分析していますか。

平井氏:NoSQLデータベース関連の売り上げは、目に見えにくいものがあります。と言うのも、オープンソースベースでマネタイズは難しいものがあり、市場の牽引役にはなりません。NoSQLデータベースを扱っていても、ベンダーのビジネス拡大にはなかなかならないのです。既に初期のHadoopのディストリビューション製品は、ビジネスとしては市場に存在しません。現状、位置づけ的にはリレーショナル・データベースのオプション的なものになっています。

 ところで、ITRでは汎用のRDBMS以外に、データウェアハウス専用のデータベースも調査しています。Amazon RedshiftやGoogle BigQueryなどを対象に加えてからは、このカテゴリーでもクラウドがパッケージを逆転しています。特にAzure Synapse Analytics(旧称 Azure SQL Data Warehouse)とOracle Autonomous Data Warehouse Cloud Serviceは、まとまった数字となっています。業務系よりも情報系のアプリケーションのほうが、クラウドへの移行難度が低いことで利用が伸びていると考えられます。

 またITRでは調査対象にしていないところですが、FileMakerやMicrosoft Accessなどを用いたエンドユーザー開発で使われるデータベースの需要は以前大きなものがあります。そこではサイボウズのkintoneや、他の簡易型クラウドデータベースの利用が伸びています。

 この領域のデータベースの先駆者は、実はSalesforce.comです。Force.comの環境をデータベースとして利用する、とはいえSalesforceは高いのでコストをかけたくないところはkintoneなどを活用するとなります。中小だけでなく、コストをかけたくない場合には大企業もkintoneなどを活用しています。

 この辺りの需要に対しては、たとえばAccessから簡単に移行できるならばSQL Serverが担うはずのところです。しかしながら何年も前から取り組んでいても、AccessからSQL Serverへの移行はあまり増えていません。これはAccessとSQL Serverでは、開発者のカテゴリーが異なるからだろうと考えています。この領域ではkintoneの開発ですら難しいとなり、より簡単な簡易型データベースの需要があるのです。ここは、今後も使い分けされるところだと考えています。


著者プロフィール

  • 谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

    EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーター かつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリストとして、クラウド、データベース、ビッグデータ活用などをキーワードに、エンタープライズIT関連の取材、執筆を行っている。

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