3つのポイントで理解する「バックオフィスのDX=BX」
──御社が考えるバックオフィスのDXとはどのようなものでしょうか。
山田:私たちは、バックオフィスのデジタル・トランスフォーメーションを「BX」と言っています。というのも、経理や人事の担当の方に「DXってわかりますか?」と聞いても理解しづらいのです。DXというとIoTや次世代通信5Gのイメージが強く、経理・人事の方からすると自分たちの業務と直接関係あるように思えないんですね。
そもそもルーティン業務を確実にやっていくということが評価される部門だったので、一番変わりたがらない職種だとも言えます。ですが、ルーティン業務が多いからこそ、そこから人を解放して革新的に生産性を上げていく必要があり、これからはBXに向かっていくべきだということをお伝えしたいんです。
具体的にはBXのポイントは3つあり、まずひとつが「紙の撤廃(ペーパーレス)」です。ハンコも含めてなくしていくものです。もうひとつは「AIやロボティクスの活用」、3つ目が「クラウドの利用拡大」です。
──バックオフィスのDXである「BX」に成功している企業の事例を教えてください。
山田:東証1部上場の自動車部品メーカーのお客様は、経理の大変革をされ紙をなくしました。領収書とか請求書などを全部スキャンして電子化し、ワークフローシステムで回していくようにされたんです。
多くの企業では、領収書や請求書の原本やコピーをファイルに綴じ、過去3年分を全部倉庫に保管するようなことを、当たり前のように続けています。これをなくすというのはすごく重要なことなんですよ。
──関連法規を遵守した上で、ペーパーレス化を実現できたんですね。
山田:電子帳簿保存法のスキャナ保存制度に対応し、証憑をすべてPDF化し、タイムスタンプを付与して版管理をしています。そうすると、監査や税務署の確認などが来たときにも、伝票ナンバーを入力すれば元帳と証憑をPDFでサッと出すことができます。非常にクールですよね。
──法律は時代に合わせて変わっているのに、“現場”は昔の習慣に縛られたままということも多そうですね。
山田:要は、変わることが嫌だと言えますね。紙をなくすにしても、最初はスキャンする手間が増えます。でも、それは個別の手間が一時的に増えるだけで、全体で考えれば手間は確実に減るので変えるべきです。こちらの企業様も、以前は領収書を紙に貼って提出することになっていました。それをスキャンしろとお願いしたら、ちょっと手間が増えるような気がして最初は嫌がられるわけですが、説得して回った。システム導入だけでうまくいくのではなく、地道に関係部署に説明に伺う責任者の努力があったことがポイントです。本気で変革をされたということですよね。