緊急度が高い“経営イシュー”としてのバックオフィスのDX──経理や人事が起点となる経営変革とは?
ゲスト:スーパーストリーム株式会社 取締役 企画開発本部長 山田 誠氏
経理や人事のルーティン業務の“約4割”はRPAに任せられる
山田:2点目にクラウドの話をしますと、これがリモートワークの前提になりますよね。あるお客様は、会計システムがクラウド上にあるから、たとえ実家に帰っていても仕事が滞らないとおっしゃっていました。
──個人情報を扱うような高いセキュリティ管理が求められる仕事は、出社しなければできないという話もよく聞きます。
山田:人事部も経理部もマイナンバーを扱いますし、セキュリティ管理は当然必要です。ただ、クラウドだからセキュアじゃないというのはおかしいです。
最近は通信も当然暗号化されていますし、VPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)があれば専用線も利用可能です。ですから、クラウドだからセキュリティが不安、というのはかなり昔の話ですよね。実際、私たちのお客様の中でも規模の大きな吉野家ホールディングスさんは、会計システムをすべてクラウドに上げていらっしゃいます。
そうすると、リモートワークでほとんどの業務ができるようになるし、固定費の面からも自社でサーバーを所有して管理するより合理的です。
──「クラウドはセキュリティが甘い」というのは、いわば“都市伝説”なのかもしれませんね。
山田:そうですね。では、最後にAIやロボティクスに関してですが、冒頭にお話しした経理や人事のルーティン業務の4割くらいはRPAに任せることができます。
経理であれば伝票の登録だとか、月次レポートを定期的にメールで配信するとか、このような作業を人がやる時代ではなくなっています。人事部門の例では、お客様の要望で作ったものに「雇用契約書の作成」という機能もあります。有期雇用の従業員に、契約期限の3ヶ月前に更新の意思を確認するための契約書を作って提示しないといけません。これを個々の従業員に合わせて作る作業が膨大だということで、ロボットができるようにしました。
また、これから非常に期待できるのがAIで、例えば経理部にはいろいろなフォーマットの紙の請求書が郵送されてくることもあれば、メールで送られてくることもあります。また、EDIといって電子データで請求がくることもあります。私たちとしては、これらをいったんPDFにすれば、AIがすべて読み解いて処理するという機能を提供しようとしています。
例えば、NTTの請求書を読み取ると「これは公共料金で、電話代金」と判定し、日付や金額などを認識して仕訳の勘定科目まで推論するんです。同じNTTの請求書でも、ネットワーク回線の利用料であれば勘定科目が変わります。そういうことをどんどん学習し、賢くなっていくAIです。これまで左手で伝票をもって右手でテンキーを打って伝票登録していたものを、すべてスキャンしてクラウドにアップロードすれば、あとは自動でやってくれる、そんなことを実現していきます。
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やつづかえり(ヤツヅカエリ)
コクヨ、ベネッセコーポレーションで11年間勤務後、独立。2013年に組織人の新しい働き方、暮らし方を紹介するウェブマガジン『My Desk and Team』開始。『くらしと仕事』編集長(2016〜2018.3)。Yahoo!ニュース(個人)オーサー。各種Webメディアで働き方、組織、ICT、イノベ...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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栗原 茂(クリハラ シゲル)
株式会社翔泳社 ビズジン編集部 編集長
株式会社翔泳社にて、出版流通の営業を13年、直販部門の立ち上げにて、大学・企業向けの書籍制作・販売、ソフトウェア販売の営業を3年、ビジネス書マーケティングを1年経て、Biz/Zineの前身であるBizGene(ビズジェネ)を立ち上げる。2014年11月にBiz/Zineを立ち上げて、コンテンツ・プロデューサーに就任。ビジネスメディアの編集企画を起点に、オープン研修講座であるビズジェネ・ワークショップ、セミナーシリーズであるビジネスブック・アカデミーや、Biz/Zine Dayの責任者。イノベーション領域でのメディア企画、研修・イベント企画に一貫して取り組む。2017年4月よりBiz/Zine編集長。※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社
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