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DX漂流民にならないために「丸投げガラパゴス」と「レガシー改良優先」脱却を

edited by DB Online   2021/02/18 10:00

 33年以上にわたりB2BのITビジネスにかかわり、現在はクラウドERPベンダーのインフォア(Infor)のマーケティング本部長の北川裕康氏が本音と洞察で業界動向を掘る連載。第一回は、セミナーに通い続ける「DX漂流民」にならないために何をするべきかを語ります。

DX=業務改善ではない

 以前、他のメディアで連載をさせていただいており、その中の「私はICTという言葉が好きではありません」など、少々、物議を醸したもの? もありました。これは、その続編的な位置付けで、徒然と色々なテーマについて考えをまとめていきたいと思っています。なお、ICTという言葉は、DXという言葉が確立された今、より好きではないです(笑)

 このDX、今は百花繚乱。政府の方針もあり、デジタルトランスフォーメーションの話題が業界では持ちきりです。単なるIT化やDigitalで業務を改善するようなDigital Optimization(デジタル最適化)までDXとして、積極的なプロモーションが指されています。こんな中、議論がぶれないためにも、まずは正しいDXを理解することは大事です。Wikipediaを見ると、デジタルトランフォーションは、次のように定義されています。

デジタルトランスフォーメーション(英: Digital transformation; DT or DX)とは、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念である。デジタルシフトも同様の意味である。2004年にスウェーデンのウメオ大学教授、エリック・ストルターマンが提唱したとされる。ビジネス用語としては定義・解釈が多義的ではあるものの、おおむね「企業がテクノロジー(IT)を利用して事業の業績や対象範囲を根底から変化させる」という意味合いで用いられる。(ウィキペディア)

 上記でも、「事業の業績や対象範囲を根底から変化させる」と記載があるように、私はそれを、ビジネスにおいては、デジタルを活用して、ビジネスを変革するビジネストランスフォーションすることだと解釈しています。あのロボット「トランスフォーマー」以外、トランスフォーメーションという言葉をそれほど聞くことのない日本で、このデジタルトランフォーションやビジネストランフォーメーションについてあまり具体的なイメージを持たない方が多いかと思いますが、トランフォーメーションについては、しっかり理解する必要があると思います。英語の動詞であるTransformは、2つの言葉から成り立ちます。trans(~を越えて)+formo(形づくる)。要するに「別の(trans-)形にする(formo)こと」がこの単語の意味になります。変化するChangeや改善するImproveとは違うということです。DXは、“A”だったものをDigitalで“B”にするということです。もちろん、従来のビジネスや業務を、デジタルを活用して改善することも重要なテーマであり、継続して実行する必要があります。

 上記と考えると、日本IT部門の方には、中々厄介なテーマだと思います。業務改善ではなく、ビジネス創出や変革に近いテーマだからです。世の中、使えるデジタルの製品やサービスで溢れかえっており、どのように実装するかのHowについてはそれほど困らないと思います。しかし、ビジネスを創造する、変革するとなる、戦略やビジョンといったWhyの意味付けがとても大事になります。私が現在勤める会社はInforという会社です。例えば、私はWhy Inforという意味を追求し、それをデジタルで実現する必要があるのです。

「丸投げガラパゴス化」と「基幹システムの改良優先」のツケ

 マッキンゼー社から、「マッキンゼー緊急提言 : デジタル革命の本質 日本のリーダーへの メッセージ(*1)というレポートが出ているのですが、とても参考になります。デジタル変革における大きな障壁は、文化、人材、組織面の課題だそうです。これは、残念ながらいつもの日本の光景ですね。私が以前アナリティックスのビジネスに関わった時代も、ビックデータがブームになった時、全く同じ課題が列挙されていました。日本企業がITを外出しして、社内に開発者やアーキテクトを抱えないやり方で来たことのツケ、このレポートでは「丸投げガラパゴス化」のツケが回ってきていると思えます。ITベンダーはDXをサポートしてくれるでしょうが、DXを推進できません。なぜならビジネスのトラスフォーメーションであり自社のビジネスをどうするかなのです。

 最近のガートナー社のレポート「ガートナー、日本企業のデジタル化は加速しているが、世界のトレンド・ラインより約2年の後れを取っている、との見解を発表(*2)をみても、「日本企業は、世界のトレンド・ラインより約2年の後れを取っている」、いまだに、日本企業のCIOは「基幹システムの改良/刷新」への投資を重視しているとレポートしています。私は、“基幹”システムの定義を変えるべきなのかと思います。データ活用や顧客接点こそ、今の企業の基幹システムだと思います。

*1 : マッキンゼー緊急提言 : デジタル革命の本質 日本のリーダーへの メッセージ
*2 : ガートナー、日本企業のデジタル化は加速しているが、世界のトレンド・ラインより約2年の後れを取っている、との見解を発表

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著者プロフィール

  • 北川裕康(キタガワヒロヤス)

    クラウドERPベンダーのインフォア(Infor)のマーケティング本部長。33年以上にわたりB2BのITビジネスにかかわり、マイクロソフト、シスコシステムズ、SAS Institute、Workdayなどのグローバル企業で、マーケティング、戦略&オペレーションを担当。その以前は富士通とDECでソフトウェア技術者。マーケティング、テクノロジー、ビジネス戦略、人材育成に興味をもち、日々格闘中。

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連載:北川裕康のエンタープライズIT意見帳
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