EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

テーマ別に探す

デジタル化を織り込んだマーケティング組織の描き方 Marketo Master/Marketo Champion 谷風公一の集中講座【連載第3回】

施策が出てこないなら、課題を深掘れ

 経営や他組織(特に営業部門)とマーケティングのコンセプトについて議論する際、それらのコンセプトを実現するための施策まで決め切れればよいが、うまくいかないケースもあるだろう。その場合は、コンセプトを実現するために解決しなければならない困りごと、つまり「課題」が足りていない可能性がある。未来のあるべき姿を見定め(コンセプト)、そこへとジャンプアップ(施策)するためには、足場(課題)を確認する必要がある。「また、耳の痛い話をたくさん聞かなければならないのか」と思われるかもしれないが、ここは避けて通れない。

[クリックして拡大]

 課題を洗い出す上で押さえておくべきことを4つお伝えする。

 1つめは、コンセプトを実現するのに必要な課題に絞る、ということである。現場に「今、何に困っていますか」と漠とした問いを投げると「あれもこれも」と大小さまざまな課題が積み上がる。それらを仕分けているだけで時間がどんどん過ぎていき、いつしか「我が社のマーケティングをもっとよくしていこう」という熱量は冷め、態勢の品質は下がっていく。しかし「こういうコンセプトを実現したいのだが、阻害要因はありますか」と聞けば、ある程度「欲しい課題」にフォーカスできるし、課題仕分けの時間を圧縮できる。

 2つめは、課題を抱える担当者や部署の責任を問うのではなく、課題そのものと向き合う姿勢を貫く、ということである。課題の深掘りは、時として現場に険悪な空気を生む。「現場は認識していたが数年間手を打ってこなかった重篤な課題がある」と明らかにされては、現場の担当者は心穏やかではいられない。しかし、ここで課題に蓋をしては、せっかく決めたコンセプトを実現することはできない。「この課題が解決しないのは誰のせいか」ではなく、「解決するにはどう仕組みを変えればよいか」を関係者全員で考えるよう心がけよう。この場合にも、コンセプトが決まっていれば「将来こういう姿になりたいので協力してほしい」と議論をポジティブにリードすることができる。

 3つめは、マーケティングと営業の「つなぎ」の部分に潜む課題を見逃すな、ということである。コンセプト議論で作った「顧客が購買するまでのプロセスの王道」を共に眺めながら「この状態の顧客に対して、各部門がやっていること」をリストアップしてみよう。同じ顧客に向き合っているはずなのに、お互いの業務がいかに噛み合ってないか、がよくわかるだろう。

  • どの部門もケアせず放置されたままの状態の顧客がたくさんいる
  • 問合せをしてくれた顧客が、何に突き動かされたのか、わが社の何に興味を持ったのか、誰も分からないし、記録もない
  • マーケティングが入手した顧客のプロフィールや周辺情報(アンケートなど)を、営業が全く使っていない
  • 営業が商談中の顧客に対して、マーケティングが何度も販促メールを出してしまう

 こうした、顧客の立場からするとお粗末な状況が色々と出てくるはずだ。

 最後に、課題をヒアリングする際には、以下を漏らさず確認するようにしよう。

  • その課題の発生頻度やボリューム感はどの程度か(毎日1時間のロス、数年に1回、など)。解決しないと我々のビジネスや顧客にどんな影響があるのか。
  • なぜその課題が発生するのか。
  • これまでその課題が解消しなかったのには、どんな理由があるか。

 日々課題と向き合う担当者を労いつつ、その課題が会社全体から見ればどれくらい優先度の高いものなのか、を冷静に判断するための材料をきちんと揃えておくことが極めて重要である。


関連リンク

著者プロフィール

  • 谷風 公一(ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ)(タニカゼコウイチ)

    ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社 アソシエイト ディレクター。「プロジェクトを成功させるのが得意」なコンサルティングファームで、コンサルタント/ファシリテーターとして、数々の企業変革、DX推進のプロジェクトに参画。2019年、社内でマーケティング部門にスイッチ。自社のマーケ・営業組織を改革、デジタルマーケティングを推進。現在はマーケティング部門の責任者。2019年Marketo Champion、2020年Marketo Masterを受賞。

バックナンバー

連載:スーパープレイヤーに頼らない DX時代の強い組織の作り方、動かし方
All contents copyright © 2007-2021 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5