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Salesforceを「継続カイゼン」と「プロセス構築」のための神ツールとして使い倒す

edited by DB Online   2021/05/14 10:00

 今回はプロセスについての話題です。33年以上にわたりB2BのITビジネスにかかわり、現在はクラウドERPベンダーのインフォア(Infor)のマーケティング本部長の北川裕康氏が本音と洞察で業界動向を掘る連載。

 今回はプロセスについての話題です。IT業界でプロセスと言うと思い浮かぶのはCPUやメモリの割り当ての単位かもしれません。古いですかね。私は遠い昔、UNIXでアプリケーションを開発していたので、私も馴染んだ言葉です。ただ、ここでのプロセスの話題は工程や方法の意味のほうです。

 組織において人が仕事で高いパフォーマンス出す環境は、以下のような3つの層で環境を整える必要があると思います。これは、シスコ システムズに勤めていた当時、マッキンゼー出身のCMOに教えてもらったものをベースに私がカスタマイズしたものです。

  1. 価値観を同じにする企業文化を構築
  2. オペレーションエクセレンスを実現する強固なプロセスを、システム上に実現
  3. その上で人が企業活動しますが、人にはスキルとモチベーションが大事

 これは企業における内部環境ですが、そこに顧客や関連会社といった外部からのインプット、アウトプットがあり、影響を受けるという感じでしょうか。

 企業文化については、すべての基盤であり、意思決定や行動する上で、何を優先事項にして、何をすべきか、何をしてはいけないかを社員の心に植えつけます。今流行りのDXも、この企業文化で、そのような新しいことをチャレンジしなければいけないと意識づけする必要があると思います。

 今回は、「強固なプロセスをシステム上で実現し」というパートについて書いてみたいと思います。というのが、一時期、マーケティングを離れ、戦略とオペレーション系の仕事を担当していたので、そちらの仕事を通じて新しいことを学んだので、それを共有したいと思います。また、システム上にプロセスを構築しますので、その過程で作成されたデータを収集して活用するITにも関係する話題でもあります。

 プロセスは、仕事を進める方法や手順のことです。よく、結果かプロセスかという評価の話題がありますが、結果は直接コントロールできませんが、結果を出すプロセスはカイゼンすることができます。大概のグローバル企業は、営業、マーケティング、顧客サポート、工場などのそれぞれのファンクションごとにオペレーションチームがいます。オペレーションチームがメインに、新しいアプリケーションを導入して、強固なプロセスを作り上げていきます。そして、各種のデータやレポートを提供してくれます。何社かで、オペレーションの仕事にかかわりましたが、大体やり口は似たり寄ったりしています。米国の企業は、企業サイズにかかわらず、営業系を含め、色々な分野でのプロセスづくりに長けている気がします。そのような人材が豊富にいるということなのでしょうね。

 BPM(Business Process Management:ビジネス・プロセス・マネジメント)という手法もあり、それは、組織内に存在する全ての業務プロセスに目を向けて、業務プロセスごとに存在する作業工程、業務プロセスごとの繋がり、業務プロセスを円滑に回すための業務アプリケーション等を分析し、問題や課題を洗い出し、原因を究明します。そして、業務プロセスや作業工程を組み替えたり、新しくアプリケーションを導入したり、簡素化したり、無駄を排除することでより効率的な業務プロセスを実現します。業務プロセスでPDCAを回していくイメージでしょうか。

 では、なぜプロセスを作り上げることが大事なのでしょうか?それには、3点のポイントかあります。

 1点目。ITシステム上で作られたプロセスは、その過程で各種のデータを吐き出します。そのデータを使って、問題点を把握したりして、継続的にオペレーションを改善できます。SalesforceはCRMアプリケーションですが、私には顧客関係管理というよりセールスプロセスの基盤アプリ、データベース管理システムというイメージをもっています。

 また2点目として、新しいアプリケーションを導入して、プロセスを拡張し、自動的に人々を新しい世界に引き込むことが可能です。人はなかなか意識や行動を変えられないと思うのですが、プロセスで強制的に変化を促します。

 そして最後が、すべての人の行動や結果の質を上げるということです。これはグローバル企業の特徴の1つかもしれませんが、人が流動的に企業間や企業内を動きます。新しい人をそのファンクションの仕事に慣れパフォーマンスを出すために、プロセスに学び、それに乗っ取り行動することで、早急にベテランの仕事のやりかたを覚えることができるということです。もちろん、そのファンクションにあった教育をしっかりしていく必要があります。

 P.F.ドラッカー先生の著書「マネジメント」で、次のように述べています。

「組織の目的は、凡人をして非凡なことを行わせることにある。天才に頼ることはできない。天才はまれである。あてにできない。凡人から強みを引き出し、他の者の助けとすることができるか否かが、組織の良否を決定する。同時に、組織の役目は人の弱みを無意味にすることである。要するに、組織の良否は、そこに成果中心の精神があるかどうかによって決まる。」

 要するに、特定の個人や天才に頼るのではなく、組織全体として強みを作りだす必要があるということです。そのために、プロセスがとても大事になるのです。

 また、プロセスを回していくには、ガバナンスが求められます。それがないと、結果やデータにバラつきや誤差が生じてしまい、プロセスを作る意味が崩れてしまいます。


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著者プロフィール

  • 北川裕康(キタガワヒロヤス)

    クラウドERPベンダーのインフォア(Infor)のマーケティング本部長。33年以上にわたりB2BのITビジネスにかかわり、マイクロソフト、シスコシステムズ、SAS Institute、Workdayなどのグローバル企業で、マーケティング、戦略&オペレーションを担当。その以前は富士通とDECでソフトウェア技術者。マーケティング、テクノロジー、ビジネス戦略、人材育成に興味をもち、日々格闘中。

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