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保守工数削減の現実解「脱・属人化」のススメ

保守担当者だって夜はぐっすり眠りたい!~後任者への引き継ぎのためにまとめておくべき6つの情報

第3回

あなたは、自分がどんなシステムを保守しているのか分かっていますか。他人にシステムとプロジェクトのことを伝えられますか。目先の作業に集中していると、システムとプロジェクトの全体像が意識から抜け落ちてしまうものです。あらかじめ、システムとプロジェクトの概要をキャッチアップ資料としてまとめておけば、安心して新任の保守担当者を受け入れられることでしょう。

キャッチアップ資料は新任担当者の立ち上がりを助ける

 新任の保守担当者が保守プロジェクトに着任してプロジェクトメンバーに挨拶を済ませた後、リーダーからこう告げられました。

  プロジェクトメンバーはシステムについてとても詳しい。
  分からないことがあれば、彼らから大抵のことは教えてもらえるはずだ。
  何かキャッチアップに役立つ資料はないかって?
  そんなものないよ。みんな仕事を通して時間をかけて学んだからね

 新任担当者の知識や経験が豊富でも、保守対象のシステムについては素人です。その彼らが素人であるまま仕事を始めたら、すぐに期待通りのパフォーマンスを出せず、ミスを起こす危険もあります。時間をかけて手厚くフォローできれば、次第に成長するかもしれません。ですが、残念ながらそこまで余裕があるプロジェクトはないでしょう。

 要点をついて簡潔にまとまったキャッチアップ資料があれば、新任担当者は手早く素人から脱することができます。新任担当者が着任する前に、キャッチアップ資料を作成しておくことが大事です。

 キャッチアップ資料の作成には他にも効果もあります。キャッチアップ資料を作成するために、さまざまな情報をまとめることになります。その過程で、個人に偏在化していた暗黙知が形式知化され、既存メンバーの成長につながります。キャッチアップ資料は次の観点で情報をまとめると良いでしょう。

キャッチアップ資料に盛り込むべき情報
  1. システムの観点
    • システム境界
    • システムアーキテクチャ
    • ソフトウェアの要素
  2. プロジェクトの観点
    • ステークホルダー
    • 契約
    • 保守プロセス

次のページ
システム境界(ユーザー部門と他システム)

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この記事の著者

山内 亨和(ヤマウチ ミチタカ)

 システム開発やアーキテクチャ設計などの業務を経験した後に、天職となるプロセスエンジニアリングに出会う。開発プロセスやプロジェクトマネジメントプロセスを専門とし、現在はユーザ企業のPMOにてプロジェクトへの指導と監査、継続的なプロセス改善を実施している。株式会社オージス総研が発刊しているオンラインマ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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