「日立とマイクロソフトは似ていておもしろい」 澤円氏がLumadaで描きだす新たなフィールド
日立 Lumada Innovation Evangelistに就任した澤円氏が語る「DXの本質」

2021年3月に日立製作所(以下、日立)のLumada Innovation Evangelistに澤円氏が就任した。同氏の前職は、外資系の日本マイクロソフト。自由闊達なイメージの澤氏が日本の大企業である日立にエバンジェリストとして就任したこともあり、驚く人も多かったのではないだろうか。そこで澤氏を訪ねて、就任に至るまでの経緯をはじめ、現在の役割やDX、セキュリティ、日立を通じて今後どのような活躍を考えているのかを伺った。
“おもしろさ”に惹かれて日立へ
――はじめに、「Lumada Innovation Evangelist」に就任された経緯をお聞かせください。
これまで日本マイクロソフトに23年在籍し、その中でテクノロジーセンター長を9年間務めていました。多くの顧客に対して、すべてのプロダクトを用いて関われる業務はこれだけだったのです。ただし、外資系企業で同じポジションに9年間就いていることはとても珍しく、ともすれば無能の証ともいえるかもしれません。しかしながら、自分にとってそのポジションよりも魅力的な仕事がなかったので、長く務めることになりました。
テクノロジーセンターでは年間1,000回以上、お客様を招待してセッションを行ってきました。しかし、コロナ禍で状況が一変。こういうときこそ動いたほうがおもしろく、「グレートリセットがかかっている、今こそチャンスだ」と思いました。
とはいえ、転職するにしても行きたい会社は思い当たらず、競合他社は最初から除外していました。エージェントに相談しても「澤さん向けのものはない」といわれて、そこで転職活動は終了。副業が伸びていたこともあり、退職して独立することにしました。
すると、あるとき転職エージェントがすべてを見透かしたかのように「日本企業に興味はありませんか。でも転職はしたくないでしょう? パーシャルな案件があるのですが」と声をかけてくださり、「それはおもしろそう!」と快諾したことが、日立 Lumada Innovation Evangelistに就任した経緯ですね。

――日立のような大きな組織に入ると縛られるような感覚もありそうですが…。
つまらないかどうかは自分で選ぶことです、流されるタイプでもないですしね。とはいえ、「髪を切り、七三分けにしてネクタイをしろ」と言われたら断ったかもしれません(笑)。
――2021年3月に就任してから半年ほどが経過しましたが、どのような活動に取り組まれていますか?
社内では繰り返し「澤を使うときは雑に、上げ膳据え膳は性に合わない」と伝えてきました。製品を作るときなら丁寧さは大事ですが、人へ依頼する際に“プロセス偏重”だと貴重な時間を浪費するので「雑に」といっています。
今では「偉い人が来るので同席してください。台本なしですから、任せます」と、いい感じで“雑に”、毎月数回のプレゼンテーションの機会をいただいています。お客様からも「澤がいるんでしょ」と指名されるなど、これはうれしい誤算でしたね。
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加山 恵美(カヤマ エミ)
EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)
1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。
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