社員の4人に1人はエンジニア。直感よりデータを重視する企業風土にマッチしたSnowflake
──組織内にSnowflake活用を浸透させるためにどのような発信をされましたか。特に黒崎さんは、日本で2名しかいない、Snowflakeコミュニティのエキスパートである「Data Super Hero」の1人です。今回の受賞にあたり、社外への情報発信も寄与したと聞いています。
鷹雄氏:Snowflake主催の勉強会を開催していただいており、社内でも数回にわたり勉強会を実施していただいています。Snowflakeを使ったプロジェクトについて社内発表したあと、多くの従業員が興味をもってくれたこともあり、勉強会も盛況のうちに終わりました。
黒崎氏:社外に向けては、エンジニアブログなどで情報発信をする文化も醸成されており、それを社内の人が参考にすることもあります。もしかしたら、私の投稿を見てSnowflakeに興味を持った方もいるかもしれません。
鷹雄氏:Snowflakeにおいて、デフォルトで保有できるアカウント数は25ですが、弊社では既に20を超えています。つまり、それだけSnowflakeを使ったプロジェクトが多く、社内にも浸透しているということです。データについても圧縮した状態で数百TB(テラバイト)はありますので、展開すればPB(ペタバイト)規模になると思います。
──では、Snowflakeはどのように活用されているのでしょうか?
鷹雄氏:社内端末のデータを集約して、セキュリティインシデントの予見をするプロジェクトなど、おもしろいものもあります。
黒崎氏:私は、いくつかの大きなプロジェクトに関わっており、そこで初期設計や構築、従来環境からの移行などをサポートしています。多くのプロジェクトでは、運用が開始されるとあとは使う人たちが自由にSnowflakeを活用していますね。ですから、データウェアハウスだけを専門に見ている人はいません。
主に活用するのは、社内のデータサイエンティストやエンジニアなのですが、みんな自分で操作できています。これまでは日々、運用のケアをしなければならなかったのですが、Snowflakeはフルマネージドサービスなので気にする必要がありません。構築さえ済ませてしまえば、あとはユーザーが色々な機能を自由に使って活用できるようになっています。
鷹雄氏:それは実感しますね。データウェアハウスに負荷をかけてしまうと影響が大きいため、従来はインフラエンジニアにサーバーの拡張や環境のアップグレードを依頼していました。しかし導入後は、Snowflakeのアカウントを渡すだけで、SQLなどに詳しくない人でもデータ分析できています。これは、大きく変わった点ですね。今では、アカウントで利用できる上限だけを設定して、あとは自由に使ってもらっています。
──次々と登場するSnowflakeの新機能もすぐに試されているそうですね。
黒崎氏:新機能でもユースケースが想像できるものは、すぐに触ってみています。元々扱いやすいこともありますし、今自分にとって必要でないものでも後から活用できるシーンもあるため、知っておくことが大切だと感じています。
鷹雄氏:特に「Snowsight」は使っている人も多いです。自分で書いたクエリをレビューしてもらうときに、 URLを渡してチェックしてもらうような使い方もしています。みんなが次々と新しい機能を調べて、使っているイメージですね。やはり、元々直感よりもデータを重視する文化が社内にあったのだと思います。
黒崎氏:弊社ではデータサイエンティストやエンジニアと一緒にプロダクトを作っていくことが多いため、ビジネス部門の従業員も含めてデータを重視する文化が広がっていますね。
鷹雄氏:実際に弊社従業員数におけるエンジニア比率が25%、クリエイターも合わせると36%と多く、システムも外注せずに内製することが多いです。プロダクトだけでなく、人事や経理にもシステム室があり、何かやる場合は必ずエンジニアが関わります。そのため、“データを意識して働く”ということが当たり前になっています。そこは、弊社の特徴的な部分かもしれません。たとえば、新しいシステムを導入するときや業務フロー変更時にも、データをもとに合理的に判断しています。
──Snowflake活用のために工夫されていることはありますか。また、これからどのように活用していきたいでしょうか。
鷹雄氏:現在、Snowflakeのカウント開設を社内のポータルサイトから申請できるようにしています。申請後、担当者がスムーズに処理すれば最短数分で使えるようにしています。
黒崎氏:アカウント申請については、社内のシングルサインオンとも連携していることもあり、セキュリティが担保された状態で利用できるためアカウントも提供しやすいですね。
また今後は、社内でうまくいった活用事例を他のプロジェクトにも展開して全体のレベルを上げていきたいです。特に、私が担当している小売企業向けのDXサービスにも、データ分析を活用できるプラットフォームを作っていきたいと思っています。今後も社内だけでなく社外にも広めて、ビジネスにインパクトを与えたいと思っています。
鷹雄氏:これまでは、セキュリティを担保してデータを共有することが難しく、CSVファイルの情報を整理したり、受け渡し方法を考えたりする必要がありました。一方で、Snowflakeであればリアルタイムのデータを簡単かつセキュアに共有できます。そのため今後は、シェアリングの機能をもっと使っていきたいですね。今もデータをより多くの部門やグループ企業に共有、活用してもらえるような取り組みを進めているところです。