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富士通 柴崎辰彦の「一番わかりやすいDX講義」

オムロン竹林一氏に聞く: 攻めと守りのDXを牽引する「起承転結人材」

第24回【DX実践研究編】オムロンのデジタル変革に向けた挑戦【後編】 

 富士通で初めてのデジタル部門の創設やサービス開発に取り組んで来た著者の実践に基づくDX連載。著者は、香川大学客員教授で富士通 デジタルビジネス推進室エグゼクティブディレクターの柴崎辰彦氏。シリーズの第3部となる「実践研究編」では、実際に企業のデジタル変革に取り組むをプロジェクトリーダーのインタビューをご紹介する。実践研究編5つ目の事例は、オムロン株式会社イノベーション推進本部の竹林一氏の後編。

 前回(「オムロン竹林一氏に聞く: 流れのある所にビジネスチャンスがある」)では、エコシステムデザイナーを標榜する竹林氏のイノベーションに関するこれまでの取り組みと、業界も巻き込んだデータビジネスへの想いやデジタル変革(DX)の本質についてお聞きしました。連載の後編は、攻めと守りのDXについてお聞きしたいと思います。

オムロン株式会社イノベーション推進本部 竹林 一氏
オムロンに入社後、新規事業として鉄道カードシステム事業、モバイルサービス事業、電子マネー事業を立ち上げる。経営幹部として、オムロンソフトウエア株式会社(IT)、オムロン直方株式会社(OT、EMS事業)、ドコモ・ヘルスケア株式会社(データ活用)にて代表取締役社長を歴任。現在、オムロン株式会社イノベーション推進本部 シニアアドバイザー
一般社団法人 データ社会推進協議会理事/経団連 サプライチェーン委員会委員、DXタスクフォース委員会委員/京都大学経営管理大学院客員教授(京都ものづくりバレー構想の研究と推進)
著書『たった1人からはじめるイノベーション入門』日本実業出版社

2つのトランスフォーメーション

──現在、「DX銘柄」と呼ばれている表彰制度は、かつて「攻めのIT銘柄」と呼ばれていました。デジタル変革(DX)に攻めと守りがあるのは何故でしょうか。

 「攻めのDX」というのは、新たな価値「軸」への転換かなと思っています。従来のビジネスモデルや売り方の延長線上であれば、トランスフォーメーションやイノベーションという必要はないわけですが、従来のままでやっていくとヘトヘトになっていくので、新たな価値軸が必要です。もう一つ「守りのDX」の方は、データによる変革です。データは社内や組織のいたるところに点在している。この点在しているデータを繋ぐことにめちゃめちゃ時間かかっているので、これを効率化することが課題です。それによって(余力を生み出す)体質を強化することです。攻めも守りもどちらのDXも大事だなと思っています。

図1 「攻めのDX」と「守りのDX」

図1 「攻めのDX」と「守りのDX」 [画像クリックで拡大]

──「攻めのDX」に必要な軸のマネジメントとはどのようなものでしょうか。

 元上司でカンパニー社長の方から、「軸は何や」としつこく言われたことがきっかけでした。彼は「幹」という表現もしていました。打ち合わせするたびに「木の幹を持ってこい、お前が持ってくるのは葉っぱみたいなアイデアばかりや」と言われました。

 最初は、自分のアイデアが葉っぱか枝か幹かわからない。葉っぱは点にすぎない。「根本となる価値の源泉」としての幹があるからこそ、枝が出て葉が生えてくるわけです。「駅は街の入り口」というコンセプトは、いってみれば「幹」や「軸」といえるものなのです。事業部長の時にその方と6ヵ月間議論して「軸のマネジメント」の重要性を再認識しました。

──従来の軸から新機軸に取り組むべき理由について教えてください。

 いいものを安く早くといった既存のビジネスの枠組みやモデルは、すでに消耗戦で、賞味期限が切れ始めています。ドラスティックに社会構造が変化する中で、全体像を捉えて新たな軸を設けて世界観を描いていく必要があり、市場にも社員やステークホルダーにとってもワクワクする新しいビジネスが必要だと感じています。

図2 「軸」を変化させて新しいフレーム「枠組み」を作る

図2 「軸」を変化させて新しいフレーム「枠組み」を作る [画像クリックで拡大]

次のページ
新しい価値の創出を目指す「攻めのDX」とは何か

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この記事の著者

柴崎 辰彦(シバサキタツヒコ)

香川大学客員教授 富士通株式会社にてネットワーク、マーケティング、システムエンジニア、コンサル等、様々な部門にて“社線変更”を経験。富士通で初めてのデジタル部門の創設やサービス開発に取り組む。CRMビジネスの経験を踏まえ、サービスサイエンスの研究と検証を実践中。コミュニケーション創発サイト「あしたの...

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