すぐに簡単に使えるモニタリング機能
また、システムの問題の多くはハードウェアやソフトウェアの異常が原因だ。その多様な異常を検知するためには、CPU使用率などのメトリクス情報やOS上に出力されるログ情報等のモニタリングが必要になってくる。障害を予防するためにも、モニタリングにより異常を検知する必要があるのだ。もちろん、既にシステムに関するさまざまな情報を収集しているというユーザーは多いだろう。しかしながら、そういった情報を集めるだけでなく「障害を防ぎ、復旧のトリガーとするところまで考慮できるかがポイントです」と原田氏は言う。
Oracle Cloudのモニタリング機能には、Database Managementがある。これはデータベースを中心としたモニタリング機能で、CPUやメモリ使用率、表領域などデータベースの基本的なメトリックスを一元的に監視できる。そしてこの機能は「Enterprise Editionで本領を発揮します」と原田氏。Oracle Base Database ServiceのEnterprise Editionは、Diagnostics Pack、Tuning Packが無償利用でき、これらオプションの利用が前提のAWR(自動ワークロード・リポジトリ)やASH(Active Session History)分析、SQLチューニングなどが、Database Managementを用いて簡単に実施できる。
モニタリングのもう1つの機能が「OCI-Logging」だ。これはログ収集および監視サービスで、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)コンソールの監査ログやマネージドサービスのログ、ネットワーク通信のログに加え、OSやその他任意のログを一元管理できると。エージェントを入れることができるならば、オンプレミスシステムのログ収集も可能だ。
これらDatabase ManagementとOCI-Loggingを使い、作り込まれたEMCC(Enterprise Manager Cloud Control)運用監視の環境を、どこまでカバーできるかをアシストでは検証している。
同社によれば、Database Managementは使いやすさの点において高く評価できるという。特にEMCCのようなマネージドサーバーが不要で、すぐに利用できる点は使い勝手が良い。一方、予防、検出の観点ではEMCCと同程度のことはできるものの、ある程度の作り込みも必要になるという。
一方で、OCI-Loggingについては厳しい評価となった。「特に使い勝手の評価はバツとなりました」と原田氏。EMCCでは検出ルールはあらかじめ提供されているが、OCI-Loggingにはそれがなく“かなりの作り込み”が必須になるからだ。とはいえOCI-Loggingは、オブジェクトストレージと連携してログ保管がやりやすい点は評価できるという。セキュリティで足りない機能は、Oracle Cloudにも用意されている。それぞれのツールの特徴を掴んだ使い分けがポイントだと原田氏は指摘する。