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北川裕康のエンタープライズIT意見帳

「DX人材」を語るなら「シナリオ・プランニング」を学べ


 DX人材、デジタル人材という言葉を、記事などでよく見かけます。でも、定義がまちまちで、同じ言葉でも、違う意味をもっていることが多いです。DX人材といいながら、実態はデータ活用のスキルだったりすることも多く、それを見るとIT後進国だと嘆いたりします。私のこの連載の主張は一貫して、「DXはデジタル技術を使ったビジネストランスフォーメーション」です。よって、DX人材とは、単なるIT技術に精通した人でも、データ活用ができる人でもありません。かの有名なジム・コリンズが書籍『ビジョナリー・カンパニー2』で「技術は業績の促進になるが、革新を作るものではない」と述べています。ビジネスモデルがイノベーションを生むのだと思います。

ガートナーと総務省のデジタル人材の定義

 2022年6月16日のガートナーの発表[※1]では、デジタル人材について興味深いことを示唆しています。

「Gartnerは、デジタル人材に必要となる3つの能力を特定しています。3つの能力とは、『新しい発想でビジネスをデザインする能力』『新しいビジネスにあうようにテクノロジをデザインする能力』『ビジネスとITをつなぐ橋渡し能力』です。特に橋渡し能力は、チームの構成を変え、チームとして発揮できる能力を拡張する上で不可欠です」

[※1] Gartner、ビジネス成長を加速させるためには、テクノロジを活用して変化に迅速に対応できるコンポーザブル・アプリケーションへの変革を推進することが重要との見解を発表

 すべての能力にビジネスという言葉があるように、それがコアになります。「新しいビジネスを設計する → それを実現するためのテクノロジーアーキテクチャを設計する → 設計したアーキテクチャをITで実装する」というようにDXを作り上げていく必要があります。

 この3つの能力すべてをもつスーパーマンはいないでしょうが、組織としてその能力を持てばいいのです。この中でも、新しいビジネスをデザインする能力はなかなか敷居が高いです。ここがDXのキモです。しかし、それ以外は実は普通のIT化とそれほど変わらないと思います。AIだって、IoTだってもう普通になってきていますし、新しい技術の習得はDX以前に必要なのです。そして、IT部門の人には、最低限でも「ビジネスとITをつなぐ橋渡し能力」が求まれます。ですから、実はIT部門にはDX人材というより、王道としてITの成熟度を上げていく必要があるのです。

 総務省が2021年7月30日に公表した『令和3年版 情報通信白書』では、DXを推進する上でのデジタル人材不足の深刻化を指摘しており、日本ではDXの主導者、新たなビジネスの企画・立案者、デジタル技術に精通している者、UI/UX関わるシステムデザインの担当者、AI・データ解析の専門家とも、万遍なく不足している状況です。ある意味、IT技術者が不足しているのですから、その上位層が不足しているのは当然の結果であり、底上げが必要です。 ただ、「新しい発想でビジネスをデザインする能力」「新しいビジネスにあうようにテクノロジをデザインする能力」は、勉強しても、研修しても、簡単には身につく能力ではありません。難しいところです。

シナリオ・プランニングのフレームワーク

 そんな中、ビジネスを設計する能力については、シナリオ・プランニングの勉強をお勧めします。『シナリオ・プランニング 未来を描き、創造する』(英治出版)や『リアル・タイム・ストラテジー AIと拓く動的経営戦略の可能性』(ビジネス教育出版社)といった書籍がとても参考になります。シナリオ・プランニングは、未来に起こることを想像、仮定して、ビジネスの影響度の高いシナリオを作る手法です。

 シナリオ・プランニングの手順はこうです。まずは、「PEST:政治(Politics)、経済(Economy)、「社会(Society)、技術(Technology)」という4つの外部環境を取り出し、分析すると同様に、「環境(Environment)」を加えた「STEEP」といった分析フレームワークで、企業を取り巻く環境を分析して、その中からビジネスドライバを洗い出します。SWOTというメジャーな分析フレームワークもありますが、未来志向にはそれほど適しません。

 そして、「影響度」と「不確かさ度」という2軸で、それらのビジネスドライバをチャートにマップします。影響度の低いものは、ここでは対象にしません。影響度が高く、不確か度が低いビジネスドライバは、しっかり取り組みなさいということです。それをやらないは、企業の怠慢です。影響度が高く、不確か度が高いビジネスドライバがもっとも重要です。そこでうまく戦略を作れば、DXができるからです。「不確かさ度」が高い未来のドライブを想定するのは難かしかもしれませんが、ここが勝負の決め手です。明日は、今日とは違いますからね。増しては3年後には、競合も変わっているかもしれませんし、顧客の嗜好も変わっているかもしれません。ITは確実に進化して、日本の人口は確実に減少しています。

 影響度が高く、不確か度が高いビジネスドライバから(ビジネスドライバを組みあわせ場合もあり)、もっとも大事な2つを選択して、それを2軸にして、4つの領域でシナリオを作っていきます。4つのシナリオを作るので、シナリオ・プランニングです。ただ、起きる可能性、起こす必然性については慎重見極める必要があります。

 その4つのシナリオに対してビジネスモデルを作成します。それがとるべき手になり、どのようにデジタル技術を使って実装するかです。

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取締役こそDX人材になるべき

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この記事の著者

北川裕康(キタガワヒロヤス)

クラウドERPベンダーのインフォア(Infor)のマーケティング本部長。33年以上にわたりB2BのITビジネスにかかわり、マイクロソフト、シスコシステムズ、SAS Institute、Workdayなどのグローバル企業で、マーケティング、戦略&オペレーションを担当。その以前は富士通とDECでソフトウ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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